【思ったこと】 _b1225(日)日本質的心理学会第8回大会(30)実践としての身体(3)機能・能力概念の批判
話題提供の終わりのあたりで河野氏は、心理学は不要であるとするオーギュスト・コントの心理学評価に言及された。その論点は、
- 心の器官は脳であり、脳生理学的な骨相学がそれを調べる。
- 人間は個人としてではなく社会的に存在しており、心理と呼ばれているものは社会的なものである。
- 脳生理学は、集団的な法則を扱えない。
- より複雑で、人間固有の心的機能を探求するには社会物理学(社会学)が必要。
- 心理学は不要。生理学と社会学があればよい。
コントや社会学成立過程については私は全くの素人であるが、私の知りうる限りではコントが生きていたのは1978年〜1857年であって、ヴントやパブロフやワトソンやスキナーの登場より遙か昔のことである。近代心理学がまだ登場していないのに、どうして「心理学は不要」と主張できるのか疑問であったが、河野氏が主張されたかったのは、おそらく、その後の、テーヌ(1828〜1893)、リボ−(1839〜1916)、ジャネ(1859〜1947)などの議論をふまえて、機能や能力といった概念をどう捉えるのかということにあったのではないかと推察された。スライド画面によれば、
- 反復される現象の背後に同じ力が働いているという幻想
- 機能概念は、人間という全体的なものを断片化してしまう
といった点で批判されるべきである。そのことから、期待される心理学の研究法の可能性として河野氏は
- 構成主義
- 現象学的記述を含んだ当事者研究
- 質的方法
- 実験心理学的方法
を挙げられたが、「実験心理学的方法」がなぜ含まれていたのかについては、メモ書きが残っておらず、すっかり忘れてしまった。河野氏は心理学関係の諸学会にたびたび登場されているので、河野氏が次回に登場されるシンポでさらに理解を深めたいと思う。
次回に続く。
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