じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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1月6日(金)、農学部の東西方向のイチョウ並木のうち、西側の農場エリアで大規模な剪定が行われていた。次の秋には若干、小ぶりの黄葉になりそう。また、付近を通行中、写真下のガラス温室(ブドウ栽培用)を取り壊すというような会話を耳にした。このあたりの景色が大きく変わるかもしれない。 |
【思ったこと】 _c0108(日)上野千鶴子特別招聘教授着任記念学術講演・シンポジウム(2)上野氏の研究の特徴 今回の企画は、表題の通り、上野氏が4月から立命館大学に招聘されることを記念した講演会とシンポジウムであった。ちなみに、シンポの最後の質疑のところで、フロアから「上野先生はなぜ立命を選んだのですか?」というような質問が寄せられていたが、それに対するお答えは「私が選んだのではなく、立命が選んだのです」であった。 というようなこともあり、講演に先立って、まず、立命館総長による開会の辞があった。その中では、現在の日本国内におけるNPOの約8割がケアや介護に関わる団体であることや、当事者視点の重要性が述べられた。また、上野氏については、論文や研究のスタイルが「いさぎよい」こと、多くの学者が「出羽の守」であるのに対して(←「出羽の守」については、10年ほど前に大学改革に関連して記したことがあった)上野先生はそういうところが無いというようなことを言われた。 そしていよいよ、上野氏のご登場となった。上野氏は、まず、御自身が18年間にわたる「東落ち、東下り」から、青春時代を過ごした今日とに戻られたこと、福祉の世界は利権にまみれていること、研究者は10年に1冊のペースでしか研究書を出せないが、今回の御著書『ケアの社会学』はそれにあたることなどを述べられた。 余談だが、上野氏は私と同じ学部、大学院を卒業しておられる。御略歴を拝見すると、学部卒業が1972年、大学院単位取得満期退学が1977年、その後1979年4月まで研修員や奨励研究員をされていたという。いっぽう私のほうは、1975年に学部卒業、1980年に大学院単位取得満期退学であった。ということは、私が博士前期課程(修士課程)に在籍していた頃にはまだ博士後期課程におられたはずで、廊下をすれ違ったり、生協食堂で偶然に隣の席で食事をしていた可能性も十分あったはずだ。このほか、昨年の質的心理学会で基調講演をされた浜田寿美男氏と上野氏はお歳も1歳違いで、大学時代から研究上の交流があったのではないかと推測してみたくなるところであるが、ネットで検索した限りでは「上野千鶴子が浜田寿美男「告白の心理学」を絶賛した」という記事がある程度でそれ以上のことは分からなかった。ちなみに、私が学生の頃の心理学教室の助手は島久洋先生であったが、毎日のように助手室で雑談の相手をさせていただき、教授と対等以上に渡り合える先輩諸氏の活躍ぶりを何度か伺った。残念ながらその島先生はすでにお亡くなりになっている。 さて、本題に戻るが、講演ではまず、ケアの社会学とは何かについて、何をめざすか、解きたい問いは何か、といった骨子が語られた。解きたい問いはあくまで、良いケアは何かということである。「ケアの倫理学」は山のようにあるが、上野氏の解きたい問いには答えていないという。またそれは、社会福祉学でも福祉社会学でもないし、福祉の技術論でもない。ということを踏まえて、相互行為、制度と運用、規範科学、経験科学という観点から「社会学」アプローチが論じられた(と、理解した)。但し、念のためおことわりしておくが、この日記で何度も述べているように、私自身は社会学とは何か、他の学問とどう違うのかということがイマイチ理解できていないので、誤解があるかもしれない。 次回に続く。 |