じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



02月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
§§
 1月31日は、文学部の卒論締め切り提出日であった。写真は締め切り時刻(17時15分)の30分ほど前の風景。この日はよく晴れており、西日がクスノキの並木に当たったり、図書館のガラス窓に反射して閃光を放つなどの美しい光景が見られた。

 なお、今年度は教育委員長として卒論締め切りの立会人をつとめたが、遅れてやってくるようなトラブルは一件も無く、無事に終了した。


2月1日(水)

【思ったこと】
_c0201(水)QOL評価・向上のための複合的多項随伴性アプローチ(1)パッと見ただけで変化が分かるようなツールをめざす

 ダイバージョナルセラピーの活動などを通して10年以上前から高齢者の生きがいの問題に関わってきたが、科研の採択を受けたこともあり、今年度を含む3年間で一定の成果を示す必要が出てきた。

 私自身のアプローチは、行動分析学でいう「行動随伴性」をベースにしているが、それは単に「望ましい行動を強化しましょう」というような個別的な行動改善に終わるものではない。あくまで長期的、全人的な視点から、個人全体のQOLの向上と維持を目ざすものである。

 これまでの種々の検討の中で分かってきたのは、行動随伴性アプローチでは、
  1. 時間的には、少なくとも3つのスパン、すなわち、短期(直接効果的随伴性)、中期(達成や累積的成果などを含む数年単位の随伴性、直接効果的随伴性以外にルール支配、弁別、確立操作を含む)、長期(行動の束としての人生のカタチ)で捉える必要がある。
  2. 時間軸で捉えられる行動の束を輪切りにした時の空間的視点。行動の密度(一日中セカセカ行動しているか、無為状態か、競合的な行動により葛藤状態にあるか)、外界との繋がり、社会的強化など。
  3. 随伴性の入れ子。好子出現による強化と、阻止の随伴性による義務的な強化の随伴性を入れ子構造にして捉える。例えば、ある目標を達成する過程では、長期的な行動プロセスは目標達成という大きな好子の出現で強化されるが、その入れ子の内側を構成する手段的行動は、行動しなければ好子消失という阻止の随伴性で遂行されていく。
といった視点が必要であるということだ。

 これらはいずれも、分析の枠組(ツール)であって、何かの調査や実験で実証されたとか否定されるといった性質の理論ではない。つまり、正しいか間違っているかではない。個々人の生活にこのツールを適用した場合に、適用しなかった場合に比べて、QOLを高めたり維持するための具体的プランがどれだけ適確に提案できるかという、有効性にかかっている。

 しかし、ここで問題となるのは、ツールの精緻化に加えて、誰でも利用できるよう、いかに簡便な形にまとめていくのかという点である。QOLの評価や向上のために何百頁もの報告書を作ったところで、誰も読まないし、活用もできない。多少大ざっぱなところがあっても、できれば1枚のシートで記録し、パッと見ただけで変化が分かるような表もしくは図解が求められる。この連載(あくまで不定期)では、その試みについて記していきたいと思う。

 不定期ながら次回に続く。