じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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§§  3月12日の夕刻はよく晴れ、西の空に、金星(右)と木星(左)が並んで光っていた。なお、これら2つの星は3月15日に3°16′まで接近する。

3月12日(月)

【思ったこと】
_c0312(月)日本環境心理学会第5回大会「場所愛着・再考」(1)

 他の連載のため遅くなってしまったが、3月3日に東京大学・柏キャンパスで行われた、日本環境心理学会第5回大会・総会のワークショップ:

『場所愛着・再考 東日本大震災と原発事故をめぐって』

について、参加感想・メモを記しておきたいと思う。なお、この大会は12日の午前中がワークショップ、午後は、総会と口頭発表という日程になっていたが、私自身は昼過ぎに別の研究会が行われる新宿のほうに移動した。

 ちなみに、この学会の大会には、昨年から、非会員として参加させていただいている。人間・植物関係学会とも共通するような発表テーマもあってたいへん興味深いのだが、今年還暦を迎える身でもあり、非会員のままで、興味のある企画があった時に参加させていただくにとどめている。

 さて、今回のワークショップのメインテーマは、場所愛着(Place Attachment)であった。昨日3月11日は、東日本大震災から一周年を迎えたところであったが、震災復興のポスターに、
  • 甘くみるなよ、大槌人だ。
  • 此処でなきゃ駄目なんだ。
といった、場所愛着を示す文言が見られるという。実際、今回の震災では、人命は言うまでもないが、生活の場所を失われたことによる喪失感は計り知れないものがあり、これは、仮設住宅生活はもちろん、高台への集団移転が行われた後にも決して取り戻せるものではない。

 さて、そもそも場所愛着とは何かということになるが、企画趣旨説明によれば、
  • 「人間と場所との精神的な絆」(Altman, 1992)
  • 「家などの主要な社会/物理的場面と人との間の動的で持続的,かつ肯定的な結びつき」(Browm & Perkins, 1992)
というような定義がなされており、また、Shumarker & Taylor (1983)や大野(2011)によれば、それらは、感情的次元( 懐かしさ、所属感、誇り)、認知的次元(知識、記憶、評価)、行動的次元(参加、定住性)でとらえられる概念であるとのことであった。

 ということで、復興と関連づけ、場所愛着についての現場の状況を把握したり、「場所愛着」の意義を確認し計画・設計に生かす、環境心理学からの提言などを再考しましょうというのが、今回のワークショップの趣旨であった。

 今回は震災や復興に重きが置かれていたが、「場所愛着」自体は、高齢者の生きがい、特に、自宅から介護施設に入居する場合に大きな影響を与えていると思われる。また、地域の開発と街並み保存、エコタウンの設計にとっても重要であろう。

次回に続く。