じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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2012年版・岡山大学構内でお花見(31)美しい夕焼けとスイカズラの花 5月23日(水)の午前中は授業、午後は13時から18時頃まで延々と会議がありくたびれた。写真は帰宅時に見られた美しい夕日とスイカズラの花。楽天版(5/16)に、同じ場所で撮影した別の写真あり。 ※岡山大学構内の花だよりのアルバム(追記更新型)をLife-Xに公開中です。随時追加していきますので、時たま覗いていただければ光栄です |
【思ったこと】 _c0523(水)山登りをする人としない人を比較しても「なぜ山に登るのか」の原因は分からない 卒論研究でありがちな方法として、ある行動をする人としない人に質問紙調査を行い、「○○尺度」得点との相関を調べるというやり方がある。「○○尺度」により測られるものは、「○○感」、「○○志向性」、あるいは何らかの性格特性などであり、有意な相関があった場合に、「○○感の高い人は××という行動をする傾向が高い」というように結論される。 しかしこの方法では「ある行動」の真の原因は分からない。単に、 「○○尺度」の得点が高いという情報が得られると、その人が××という行動をするであろうという予測が可能できる という、予測に役立つ分析を行ったのにすぎない点に留意する必要がある。 「山登り」という行動を例に、この留意点について考えてみることにしよう。 まず、山登りの有無をについての質問であるが、厳密には、
では、1.と2.を比較すれば、山登りを続けている理由が解明できるのか?そうではなくて、おそらく、2.の山登りをやめた理由、たとえば、病気や怪我で激しい運動ができなくなったといった理由を明らかにするだけに終わるであろう。山登りを続けるなかで得られる高山植物や珍しい動物との出会い、壮大な景色、登頂時の達成感などは、山登りを続けている人だけを対象にして個別に質的調査を行っていかなければ、分かるはずがない。 一般論として、ある行動の原因には、
例えば、社交性に関する尺度を用いて山登りをする人としない人を比較して、山登りをする人のほうが社交性が高いという結果が得られたとする。しかし、そのことから直ちに「社交性」が山登りの原因であるとは結論できない。社交性が高いために山登りに誘われる機会が多かったのかもしれないし、山登りを始めたあとで、登山グループの交流を通して社交性が高くなったのかもしれない。 同様に、「辛抱強さ」に関する尺度を用いて山登りをする人としない人を比較した場合も、辛抱強いから山登りを続けるのか、山登りを続けていたために辛抱強くなったのかは直ちには結論できない。 山登りをする人としない人に登山靴を持っているかどうかを尋ねれば、山登りをする人だけが「はい」と答えるだろうが、登山靴が原因で山登りをするとは考えにくい。山登りをする人がその必要があって登山靴を買ったのである。 とにかく、質問紙調査で個体差を調べる研究をする場合には、多かれ少なかれそういう限界があることに留意しなければならない。 |