じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 雨上がりにうっすらと虹。気象庁統計が示すように、9月18日の岡山県岡山は、台風がもたらした湿った空気の影響で時々雨のぐずついた天気となった。しかし夕刻には西の方から晴れ間が出て、東の空にうっすらと虹が出現した。

9月18日(火)

【思ったこと】
_c0918(火)日本心理学会・第76回大会(7)高齢者の「孤立と孤独」を心理学から考える(7)指定討論(1)

 昨日の続き。ワークショップでは企画趣旨説明と3件の話題提供に続いて、指定討論が行われた。その中で特に重要と思われた点を以下に記す。

 まず、企画趣旨説明で「人口動態から見た単独世帯の増加傾向」に関して、心理学はどのような提案ができるのか?という質問が提出された。これについては、未婚率増加の問題、晩婚化、出生率低下問題、非正規雇用男性における未婚率の高さなどについてきめ細かく分析する必要があると思う。結婚す非婚かという選択は基本的には個人の問題ではあるが、急激な少子化は国全体の社会保障に大きな影響を及ぼす。また、いくら未婚率を減少させたところで、歳をとればいずれは死別により独り暮らしを余儀なくされるのは必然であり、大都市と農村地域での差違に留意しつつ、地域全体での互助の仕組みを強化することが求められる。心理学としては、結婚や出産・子育てを阻害する心理的要因についての分析、また、独居世帯におけるQOLの維持・向上に必要なサポートについての分析などが期待されるのではないかと思う。

 第二に、中年期〜老年期〜虚弱期といったライフステージにおいて、問題点も対応も多様であるという指摘であった。一口に高齢者の「孤立・孤独」といっても、経済的に恵まれ自立して悠々自適な生活が続けられる限りにおいては、むしろそのほうが、人間関係上の軋轢を避け自己実現を可能にするという点で、集団の中に身を置き他者を気にしながら生きていくよりも、よりよきライフスタイルである可能性さえある。

 第三は、3件の話題提供全体を「コンボイモデル」で捉えてみるという視点である。コンボイモデルというのは、

Kahn,R.& Antonucci,T.C. (1980). Convoys over the life course. Attachment, roles and social support. In Bales, P.B. and Brim,O.G. (eds.) Life-span development and behavior. NewYork: Academic Press.

などによって提唱された三重モデルであり、当事者を中心とし、親密さと役割の程度で区分される。内側には配偶者や一部の家族が含まれ、役割よりも親密さが重視され、安定した関係が築かれている。いっぽう、外側の円では親密さは低くなり、役割に基づいた関係が築かれる。この場合は、相手を失っても、同じ役割を果たす新たな相手によって補完できる。今回の話題提供では、ペット飼育の話題は同心円の中心に近いところに関するものであり、独居男性の話題は、同心円の中心部とやや外側を含み、認知症高齢者の話題は、中心部からいちばん外側の円(=施設の介護スタッフ)を含んでいる。但し、認知症高齢者の場合、現前の人間関係と過去の人間関係の記憶が錯綜することもあり、どこまでツールとして利用できるのかは分からないところもあるように思う。

 次回に続く。