じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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岡大本部棟の上に出現した巨大月見だんご。 昨日に続いて早朝の散歩時に遭遇した月の写真。写真上と写真中は、10月3日の早朝はちょうど、岡大本部棟の真上に月が重なるアングルがあったので、掲揚塔ポールと月齢16.8の月を重ねて、巨大な「月見だんご」を作ってみた。写真下は、翌日10月4日早朝撮影の写真で、少々雲がかかっていた。 |
【思ったこと】 _c1003(水)日本心理学会・第76回大会(15)高齢者の次世代に対する利他的行動(5)世代性尺度のトートロジー/「付加的な強化」ではダメなの? 10月2日の続き。 昨日「世代性」に言及したが、今回紹介された研究の中では、これを測定するために、「世代性尺度」16項目が使われたという。ネットで検索したところ、出典は、 高齢者における短縮版Generativity尺度の作成と信頼性・妥当性の検討 となっており、McAdamsらが開発した「Loyola Generativity Scale(LGS)」の日本語訳に基づくものであるようだ。この論文が掲載されているのは『厚生の指標』という雑誌であるが、要約のみしかできなかった。出版元は一般社団法人 厚生労働統計協会。質問項目としては例えば「自分の経験や知識を人に伝えるようにしている」、「人に教えてあげたいような経験やコツがある」、「後世に残るようなことは何もしていないと思う【反転項目?】」などがあるらしい。68歳前後の高齢者を対象に、いま挙げた世代性尺度【短縮版?】と、子育て支援意欲や、幼児期の養育者との関係、子育て観などの質問調査が同時に行われ、すでに述べた「内的ワーキングモデル」や「世代性」を含んだ仮説モデルが統計的に検証された。 これらの分析は緻密で手堅い内容であったが、上にも挙げた世代性尺度短縮版の質問項目、例えば「自分の経験や知識を人に伝えるようにしている」、「人に教えてあげたいような経験やコツがある」などは、子育て支援をしていれば論理的に当てはまるのが当然。つまり、子育て支援をしている高齢者は、その行動をしていること自体で世代性尺度得点が増えるような内容になっており、トートロジーに陥っている恐れがあるのではないかという気がしないでもなかった。 さて、小講演の終わりのほうでは、「高齢者の世代性およびそれに影響される次世代への利他的行動は、行動の受け手である次世代との相互作用の中で、発達、継続する」ということについての検討が紹介された。ここでいう「次世代との相互作用」というのは、要するに、高齢者の子育て支援行動は、若い母親たちに「受け入れられた」、母親たちから「感謝された」というフィードバックが無いとうまく継続しないということのようであった。しかし、これって、行動分析学で言えば、付加的な好子(「感謝」など)出現の随伴性による強化と同じことではないの?、ここでは、仮に否定するにしても、せめて比較のために行動分析学の強化理論を持ち込んでほしかった。行動分析学的に言えば、要するに、 高齢者の子育て支援は、子どもの成長や笑顔といった自然の好子によっても強化されるが、若い母親たちからの感謝の言葉といった好子出現、あるいは高齢者自身がコミュニティの中で一定の役割を果たすことによって獲得される社会的な好子出現による付加的な強化がなければなかなか継続しない。ということにはならないだろうか。 次回に続く。 |