じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 _c1014(日)日本質的心理学会・第9回大会(13)個人の準拠枠の変容をTEM・TLMGで描く(13)宗教カルト経験者の価値観の変容過程(5)選択に影響を及ぼす力 10月13日の日記の続き。 話題提供の中でもう1つ、「選択に影響を及ぼす力」という考察が大いに参考になった。配付資料によれば、これには社会的方向付け(SD)と社会的ガイド(SG)がある。
諸力に対してのイメージが肯定的である場合、SD(ここでは組織と関わる選択えの影響力)は「組織に引き込む力」、SG(ここでは、社会と関わる選択への影響力)は「社会に引き出す力」として働く。いっぽう諸力に対するイメージが否定的な場合、SDは「組織に押し込む力」、SGは「社会に押し出す力」として働くというものであった。カルト宗教との関わりの場合、この2×2の4つの力は
話題提供の最後では、「Closed System(環境から孤立し環境との相互交渉をしない)」から「Open System(システム内部のみで完結するのではなく、常に外界との交渉を行いながら自己システムを維持していく)」へという主張が行われた。「Open System」に関しては、最近刊行された TEMでわかる人生の径路 質的研究の新展開 の冒頭にも、 複線径路・等至性モデル(Trajectory Equifinality Model: TEM)の特徴は、人間を開放システムとして捉えるシステム論に依拠する点、時間を捨象して外在的に扱うことをせず、個人に経験された時間の流れを重視する点の2点にある。 と記されており、TEMの根幹でもあるようだ。もっとも、行動分析学的な発想をすれば、人間の発達・成長や、行動や習慣の中長期的な変化は、常に外界との関わりの中で推移していくのであって、そもそもClosed Systemで人間を捉えようとすること自体に誤りと限界があることは明白と言わざるをえないようにも思う。発達心理学や臨床心理学の諸理論の中には、Closed Systemにこだわり続ける流派も少なくないかもしれないが...。 次回に続く。 |