じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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新緑の半田山4景。上から順に、
  • 朝日を浴びるイチョウ並木。
  • 朝日を浴びるジャガイモ畑(アンデス系)。
  • 文学部西側から眺める半田山の新緑。
  • 文法経グラウンドから眺める、夕日を浴びる半田山。


2013年04月23日(火)

【思ったこと】
130423(火)こころを動かす園芸療法(3)プログラムは全体から考えるのではなく、「個」から

 昨日も記したが、ここの施設の基本方針は、行動分析学やダイバージョナルセラピーの考え方と多くの点で共通しているように思えた。とりわけ、「個々の要望をとらえる」、「プログラムは全体から考えるのではなく、「個」から」というのは重要な視点であると思う。もちろん、各地の高齢者施設でもそれなりの取り組みがなされているが、スタッフの人的制約や設備の問題から、すべての要望に応えることはできない。最大公約数的なイベントを多様に実施して参加者を募るというのが精いっぱいであり、そういうイベントに興味を持たない人はそのまま放置されるというのが現状ではないだろうか。その点、ここの施設は、最初から園芸活動に興味のある人たちが集まってくること、さらに「自分の畑」をもつという方針もあって、「園芸」という枠内で個々の要望を活かしやすい環境が整っているように思われた。

 もちろんそうは言っても、個々バラバラに好き勝手なことをするわけではない。まず、利用者さんのほうから要望が出され、それに合うプログラムが提案・実施されると一緒に参加する方が増えてきて、グループ単位でプログラムが実施できるようになる。あくまで個々の要望が先にあり、結果としてみんなでできるプログラムになるという形で発展していくようであった。

 このほか、
  • 今日が最後の人と思って最善を尽くす:利用者さんの中には、在宅中に体調が急変して亡くなる方もおられる。今日のデイサービスに来られるのが最後になるかもしれない。
  • 作品づくりなどの活動と異なる、園芸活動では、対象となる植物は常に変化していく。その分、継続的に関わる楽しみもあるし、会話もはずむ。
  • デイサービスは、利用者さんの生活の一部に入っていくこと。園芸活動も日常の当たり前の活動の一部。
  • スタッフと利用者さんが向かい合って何かをするのではなく、同じもの(植物)のほうを向いて喋ったり作業をしたりすることが大切。
といったお話(←あくまで長谷川の記憶によるため不確か)が参考になった。

 なお、今回の講演では言及されなかったが、こちらの活動日誌を拝見すると、高齢者と子どもたちとの交流も行われているようである。決して、お年寄りだけの自己満足的な園芸活動ではなく、家族や次世代との絆も大切にされているようにお見受けした。

 ということで、今回の講演は、ホンモノの園芸療法とは何かを知る上で大変意義深い内容であった。近いうちに、実際におじゃましたいと思っている。