【連載】チコちゃんに叱られる! フラミンゴはなぜピンク色?/白鳥はなぜピンクにならない?/オーストラリアにフラミンゴが居ない理由
昨日に続いて、1月9日(金)に初回放送され表記の番組についての感想・考察。本日は、
- なぜラグビーボールは楕円形?
- なぜ緑は目に優しい?
- なぜフラミンゴはピンク色?
という3つの話題のうち、最後の3.について取り上げる。
フラミンゴの色については私はこれまで餌となるプランクトンや藻類が紅色であるためその色素が体内に取り込まれて、皮膚や羽根を赤く染めているものだと思っていた。じっさいウィキペディアでも、
体色は淡いピンク色から鮮やかな紅色をしている。フラミンゴが紅色なのは、餌であるプランクトンや藻類由来のβ-カロテンやカンタキサンチンによるものである。孵化した直後の体色は白く、これらを含む甲殻類プランクトンを摂取することで体色が紅色になる。
というように、体色自体が紅色になると記されていた。
今回の放送ではそれに対して、
●ピンク色じゃない!白い!ピンクに見えるのは赤い脂を塗りたくっているから
が正解であると説明された。鳥類の生態について研究している川上和人さん(森林総合研究所)&ナレーションによる解説は以下のような回答をいただいた。川上さんは西之島や南硫黄島の生態調査の番組でお馴染み。
- 鳥の羽毛の中で黒や灰色のものは体内のメラニン色素由来が多い。カラス、ハト、クロサギ、ヒヨドリなど。
- カワセミなどの「青い」羽毛は、構造色。色素などを使わず光の干渉で発色している。
- カワセミの場合、細かいデコボコの羽根が重なり合うことにより光の反射で青く見える。
- クジャクの羽根が角度によって違う色に見えるのも構造色による。
- フラミンゴの場合は羽毛に赤い油を塗りたくっている。
- フラミンゴは生まれた直後は灰色の羽毛で、成長するにつれ白い羽毛になる。
- そこに尾脂腺から出る赤い脂を塗ることでピンク色の体になる。
- そもそも鳥の羽毛は紫外線や摩擦でボロボロになりやすい。そこで脂を塗ることで柔軟性・撥水性が増し、羽毛が傷まないようにケアできる。
- 尾脂腺から出る脂が赤いのはエビやカニなどの甲羅に含まれているカロテノイドという色素成分を摂取しているため。
- フラミンゴはピンク色のほうがモテる。フラミンゴのピンク色が最も鮮やかになるのは繁殖期。自分が繁殖できる状態にあることをアピールしている(婚姻色)。
- 動物園では健康管理のためカロテノイドが配合されたフラミンゴ用のエサを与えている。
- こうした「化粧」をする鳥は珍しい。
- 【補足説明】フラミンゴの羽毛自体にもうっすら赤い成分が含まれているが、赤い脂を塗ることで鮮やかなピンク色になる。
放送ではさらにフラミンゴの以下のような特徴が紹介された。
- 片足立ち:
水の中につける脚の数を減らすことにより体温を奪われないようにしている。羽毛の生えていない脚は冷えやすい部分となっている。また、一本足だと重心が体の中央にくるため筋肉を使わず骨で支えられるため疲れにくい。
- ダンス:フラミンゴは毎年つがいの相手をかえると考えられており、集団でダンスをしながら相手を探す。
ここからは私の感想・考察を述べる。
まず、冒頭にも述べたように、フラミンゴは体色自体がうっすらピンク色になる。であるなら「ピンク色じゃない!白い!ピンクに見えるのは赤い脂を塗りたくっているから」というのは少々大げさであり、正確には、
●フラミンゴの体色は餌の色素を取り込んだことでピンク色になるが、さらに尾脂腺から出る赤い脂を塗りたくることで部分的に赤く染まる。
と解説するべきではないかと思う。
ところで、解説では、「鳥の羽毛は紫外線や摩擦でボロボロになりやすい。そこで尾脂腺から脂を塗ることで柔軟性・撥水性が増し、羽毛が傷まないようにケアできる。」とされていたが、であるならハクチョウやシラサギやカモメも同じように脂を塗るはずだ。もしそのような鳥たちの餌にカルテノイドを混ぜたら、フラミンゴのようなピンク色に変身するのだろうか?
さっそくChatGPTに尋ねたところ以下のような回答をいただいた。
結論から述べると、**ハクチョウやシラサギ、カモメにカルテノイドを多く含む餌を与えても、フラミンゴのようなピンク色に「変身」することは原則としてありません。**
理由は、羽毛の色が決まる仕組みが種ごとに大きく異なるためです。
以下、整理して説明します。
- フラミンゴのピンク色の正体(少し補正)
ご質問で触れられている説明には、**正しい点と誤解されやすい点**が混在しています。
- ### (1) 色素の由来
フラミンゴのピンク色は、主に
* エビ・プランクトンなどに含まれる **カロテノイド(アスタキサンチン等)**
に由来します。
- ### (2) 尾脂腺(びしせん)の役割
フラミンゴは他の多くの水鳥と同様に尾脂腺の脂を羽に塗りますが、
* フラミンゴの場合、この脂には**体内で蓄積・代謝されたカロテノイドが多く含まれる**
* そのため、**羽毛の色を強調・補正する「化粧行為(cosmetic coloration)」**として機能する
という点が特徴です。
ただし重要なのは、**羽毛そのものがピンク色に作られている(色素がケラチン中に沈着している)**
という点で、尾脂腺の脂は「色を作る主因」ではなく「色を際立たせる補助」です。
- 他の白い鳥も脂は塗っているが、結果が違う理由
- ### (1) 尾脂腺は多くの鳥に共通
ご指摘の通り、
* ハクチョウ
* シラサギ
* カモメ
* カモ類
はいずれも尾脂腺の脂を羽に塗っています。
**撥水性・柔軟性・羽毛保護**という機能は共通です。
- ### (2) しかし「白い羽」は色素でできていない
白い鳥の羽毛は、原則として
* **メラニン色素がほぼ存在しない**
* **カロテノイドも羽毛ケラチン中に取り込まれない**
* 光の乱反射による「構造的白色」
で成り立っています。
つまり、
> 白い羽は「無色」ではなく、「色素を使わない構造」
なのです。
- 餌にカルテノイドを混ぜたらどうなるか?
- ### (1) ほとんどの場合:色は変わらない
ハクチョウやシラサギにカルテノイドを与えても、
* 消化・吸収されても
* 体内で抗酸化物質や免疫補助に使われるだけで
* **羽毛に沈着する代謝経路が存在しない**
ため、羽は白いままです。
- ### (2) 例外があることはある
鳥類の中には、
* カナリア
* ベニスズメ
* 一部のフィンチ類
のように、**餌の色素で羽色が変わる種**も存在します。
しかしこれは「白い鳥一般」の性質ではなく、**進化的に特殊化した色素代謝能力**です。
- なぜフラミンゴだけが可能なのか(進化的視点)
フラミンゴでは、
1. カロテノイドを効率よく吸収・蓄積できる
2. 羽毛形成時に色素をケラチンへ沈着させる
3. 尾脂腺脂にも色素を分泌できる
4. 色の濃さが**健康・繁殖能力のシグナル**として機能する
という一連の仕組みが進化的にセットで成立しています。
したがって、
**「餌+脂」だけを真似しても、色は再現できません。**
- まとめ(要点)
* フラミンゴのピンク色は「餌+代謝+羽毛構造+行動」の総合結果
* 白い水鳥も脂は塗るが、羽毛に色素を取り込む仕組みがない
* カルテノイドを与えても、原則として白いまま
* 羽色は後天的な化粧ではなく、**種ごとに決まった生理・進化的特性**
ということになります。
非常に鋭い着眼点のご質問でした。
「同じ行動をしているのに結果が違う理由」を考える上で、進化生物学的にとても良い問いです。
野生のフラミンゴと言えば、2004年に訪れたボリビア・コロラダ湖が思い出される。今回の放送でもコロラダ湖の映像が使われていた。
もう1つ、昨年10月に訪れたオーストラリア南西部にはピンク色の塩湖が複数あったもののフラミンゴは一羽もいなかった。その理由についてChatGPTに尋ねたところ、まず塩湖の性質として、
オーストラリアの内陸塩湖は、
・極端に乾湿差が激しい
・完全乾燥と豪雨が交互に来る
・水質・塩分濃度の変動が非常に大きい
という特徴があります。
フラミンゴは
・比較的安定した高塩分湖
・プランクトンや甲殻類が継続的に発生する環境
を好みます。
という違いがあると指摘された。このことを含めて、以下のようにまとめられた。
オーストラリアにフラミンゴがいない理由は、
- インド洋を越える自然分散ルートが事実上存在しなかった
- 塩湖はあるが、フラミンゴ向きに安定していない
- 生態的ニッチがすでに他の水鳥に占められていた
- 過去に存在しても定着・存続できなかった可能性
という地理・進化・生態の複合要因によるものです。
したがってこれは
「なぜいないのか」ではなく、「なぜ定着できなかったのか」
という問いに置き換えると、非常に納得のいく事例だと言えます。
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