じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 岡山大学構内にある指定喫煙場所の内部。↓の記事参照。



2013年06月9日(日)

【思ったこと】
130609(日)世界禁煙週間(5)なぜ喫煙者の「権利」は認められないのか

 この連載の最終回。

 岡山大学では現在、こちらのマップに示された指定喫煙場所(↑の写真参照)以外での喫煙を禁止している。また、リンク先の注意書にもあるように、
  • 建物内全面禁煙
  • 歩きタバコ、自動車内喫煙禁止
  • 吸い殻ポイ捨て禁止
  • 携帯灰皿をお持ちの方も喫煙場所以外禁止
となっており、私自身が喫煙者に注意を呼びかけているのも上記の違反行為が対象となっている。このほか、指定喫煙場所内部には、禁煙相談外来の案内や、来年4月からの敷地内全面禁煙についてのポスターが掲示されている。

 こうした方針に対して、喫煙者の一部から、
  1. 敷地内の隅でひっそりと喫煙をする程度であれば誰の迷惑にもかからないはずだから認めてもいいのではないか。
  2. 日本国内では20歳以上の喫煙は認められている。敷地内全面禁煙は、そうした喫煙者の「権利」を奪うものである。
  3. 嗜好の多様性は尊重されなければならない。
  4. 敷地内全面禁煙にすると、大学周辺の敷地内での喫煙、ポイ捨てが増え、近隣地域に迷惑がかかる。
  5. 敷地内では、車の排気ガスのほうが有害。喫煙行為だけを一方的に禁止するのは不公平。
などの声が出されている。もっとも、4.の主張は、「喫煙者は、吸い殻のポイ捨てをする」という犯罪的行為を前提とした屁理屈であり、5.も問題のすり替えであって正論とは言い難い。

 では、1.〜3.の主張にはどう反論されているのだろうか? 確かに、「岡山大学は、タバコの煙の無い健康的で美しいキャンパスを目指します」、「受動喫煙のないキャンパスライフのために...」というスローガン(↑の写真のポスター参照)だけであれば、敷地内全面喫煙は少々行き過ぎであるようにも思われるかもしれない。たとえば、喫煙希望者からお金を集めて、高い煙突のあるゴミ焼却場のような施設を作り、その地下の気密室で喫煙を許可するということであれば、受動喫煙の被害は避けられるであろう。

 もっとも、大学という教育機関の場合、喫煙習慣のある学生をそのまま社会に送り出していいのかという別の議論も考慮しなければならない。6月5日の日記にも書いたように、すでに、国内でも非喫煙を採用の前提としている企業もある。また、健康増進法などを受けて、分煙対策ではなく建物内全面禁煙とする公共施設、レストランが増えており、喫煙者は、勤務を中断して、遠くまで足を運んで喫煙しなければならない現状となっており、喫煙習慣のある学生をそのまま卒業させれば、将来、本人にとっても多大な不利益を受けることになる。

 さらに、喫煙が健康に有害であることはさまざまな形で実証されているが、定年退職前に喫煙者が肺がんやその他の呼吸器系疾患で治療を受けることは、結果的に、非喫煙者の健康保険料負担を増やすことになるし、家族を不幸に陥れる。なので、自宅に籠もって喫煙し、結果として病気になるということは決して、喫煙者個人だけの問題とは言い難い面がある。

 大学敷地内の指定喫煙場所が削減され来年4月に廃止されることになれば、これまで喫煙を続けていた学生・教員は、少なくとも休み時間には喫煙ができなくなる。このことは結果的に、禁煙の努力をサポートすることになる。ということで、教育機関としての大学は、単に受動喫煙防止というだけの目的でなく、喫煙習慣のある学生の禁煙努力をサポートするためにあらゆる手段を講じるべきであると私は考える。