じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 青空の映る水田。

台風3号の進路が東に逸れて熱帯低気圧に弱まったことなどから6月12日(水)朝の岡山はよく晴れ、最高気温は33.1℃まで上がった。また、6月13日(木)朝の最低気温は午前7時までの記録で25.1℃となっており、どうやらこの夏初めての熱帯夜になった模様。

 写真はこうした晴天の中で青空を映す農学部農場の田んぼ。デジカメのマジックフィルター(ポップモード)で撮影。



2013年06月12日(水)

【思ったこと】
130612(水)日本ダイバージョナルセラピー協会設立10周年記念フォーラム(3)

 パネルディスカッションのあとの質疑の中で、それぞれの経営者(理事長、代表取締役...)がどういう経緯・理由でDTを導入したのかということについて紹介があった。いずれも複合的な理由であったが、大きく分けると、
  1. 偶然、何かの会合(あるいはラジオ放送)でDTのことを知り、芹澤さん(現・理事長)の熱意と人柄に惚れ込んで即刻導入した。
  2. 以前より、種々のアクティビティを取り入れていたが、それらはバラバラで統一性に欠け、目標もはっきりしていなかった。DTの視点を取り入れることで、それらの意義づけ、統一感、計画立案をしっかりさせることができた。
  3. 利用者にとってのメリットはもちろんだが、スタッフの教育のために重要。介護の仕事は辛いし、また、必ずしも天職として選んだわけではないスタッフもいるが、DTの理念や実践を学ぶことで、仕事にプライドを持ち、スタッフ自身が楽しむ環境を作ることができる。

 このうち1.に関しては、芹澤さんのカリスマ性を示唆するものであり、じっさい、このNPOが芹澤さん個人のご尽力によって成り立っていることは事実である。但し、10年後、20年後の継続的発展を考えた場合には、今後の中核となる後継者を育てて行くことも必要であろう。DTは宗教団体ではないので、理事長のお言葉が常に正しいとは限らない。常に、建設的議論が行われるような環境を守ることは必要であろう。但し、DTの場合は、オーストラリアでの先進的な活動がお手本になっているので、何かの疑義が生じた場合には、オーストラリアではどう対処しているのかに目を向け、その上で、日本の文化や事情に合わせて、そのままでいいのか、日本型に改良していく必要があるのかを検討していくことは必要である。DTを名乗る限りにおいては、オーストラリアのDTから独立した道を進むということはあり得ないと思う。

 上記1.を「共感型理解」とするなら、2.は「システム化型理解」ということになろうかと思う。もっとも、興味深いことに、今回のパネルディスカッションでは、男性の理事長や代表取締役が1.、女性の理事長や代表取締役が2.を表明する傾向があり、いわゆる「男脳、女脳」言説(2010年1月22日ほか参照)とは真逆であった。それはそれとして、2.の視点はきわめて重要である。合唱、カラオケ、脳トレ、四季のイベント、園芸、ショッピング、散歩、...といったアクティビティは、たいがいの高齢者施設で何らかの形ですでに行われている。しかしDTの視点から見れば、
  • 利用者個々人の事前と事後の評価がきっちり行われているか?
  • 利用者個々人の過去の特技、趣味、ニーズ、「いま何ができるのか」を把握した上で立案されているか?
  • アクティビティに参加しなかった利用者に対しても、それに代わるプログラムが用意されているのか?
などは最低限抑えていく必要がある。

 最後の3.については、いくら施設が立派で、優秀なスタッフが揃っていたとしても、そこに住んでいるいる人たちやスタッフが楽しくなければ意味が無い、というDTの基本精神にかかわるものである。DTがうまく実施されている施設であれば、スタッフもみな楽しく仕事ができているはず。スタッフが辛いというようなDTは真のDTではないと言ってもよいだろう。

 次回に続く。