じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
楽天版(9月8日付け)にも書いたように、岡山では日照時間の少ない日が続いており、9月1日から7日までの1日の平均は1.7時間に過ぎなかった。9月8日(日)も朝までは雨、その後曇りがちとなり、日照時間は0.9時間にとどまった(平年値は1日平均5〜6時間程度) もっとも、雲量が多いおかげで、美しい朝焼けや夕焼けが見られることも多い。写真は9月8日の夕焼け。朝焼けの写真は楽天版(9/6付け)にあり。 |
【思ったこと】 130908(日)高齢者における選択のパラドックス〜「選択の技術」は高齢者にも通用するか?(13)選択と後悔(7)決定後後悔と見越し後悔/「前悔」と覚悟 9月6日の続き。ここで再び、シュワルツの著書の第七章に戻って、シュワルツ自身が挙げた具体例について検討していくことにしたい。 Schwartz,B.(2004).The paradox of choice: Why more is less. New York: Harper Perennial.【ペーパーバック版】 さて、第七章ではまず、「決定後後悔(postdecision regret)」と「見越し後悔(anticipated regret)」が挙げられている。前者は、買い物ではありがちな「買ってしまった後(お金を払ったあと)での後悔」であり、それゆえ「Buyer's remorse」とも呼ばれる。なお、ウィキペディアのリンク先にはシュワルツの「The paradox of choice」の紹介のほか、「Reducing buyer's remorse」のような興味深い記述がある。なおここでは「regret」の代わりに「remorse」が使われているが、ランダムハウス英語辞典によれば、
いっぽう、もう1つの「見越し後悔(anticipated regret)」というのは、現前の選択場面で「買うか、買わないか」を判断する際に、これから先の別の選択肢まであれこれと想定して、決断がつかない状態が続くことをいう。ネットで検索してみると、これに関連する論文がいくつかヒットした。
何かをする前にはよく考えて、結果がまずくなってもいいと覚悟を決めて始めるという意味で何かの本で使われているようだ。しかしこれは、上述の「anticipated regret」の定義とは異なっている。ただし、「覚悟を決めて」という時の「覚悟」には「予想される良くない事態や結果に対し、それをそのまま受けとめようと心を決めること。観念すること」【明鏡国語辞典】という意味がもともと含まれているので、「結果がまずくなってもいいと覚悟を決めて始める」というのは冗長表現であるようにも思える。 以上、シュワルツが論じた「決定後後悔」と「見越し後悔」、さらにそれに関連して「覚悟」を取り上げてみたが、高齢者の場合は、当人に老い先短いという考えがあれば、くよくよ迷っている余裕はなく、結果として見越し後悔は起こりにくくなるようにも思える。決定後後悔については、現状がトータルで満足できる環境にあるかどうかに大きくかかっているであろう。 次回に続く。 |