じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
岡大正門北西角(岡大農学部南東端)で「Jテラス」の工事が始まった。「Jテラス」が何であるか、「J」は何を意味するのかは、完成してからのお楽しみ。 |
【思ったこと】 130917(火)高齢者における選択のパラドックス〜「選択の技術」は高齢者にも通用するか?(22)選択と後悔(16)後悔の事前回避(2) 昨日の続き。 後悔が起こりそうな事態に接した時に事前回避をするための事例として次に紹介されたのは、情報の遮断。ある商品Aを購入したあとは、購入しなかった対抗商品Bについての肯定的情報をできるだけ避けようとする。例えば、軽自動車のタントと、スペ−シアと、N BOXのどれかを購入しようとしている人は3社のカタログを取り寄せたりして念入りに比較するが、いったんどれかを買ってしまった後では、後悔を避けるため、できるだけ購入しなかった車種の宣伝を耳にしないようにする。 次に挙げられているのは、何かを決断しなかったあと、新たな選択をしないという傾向であり、第七章では「inaction inertia」と呼ばれていた。最初の(逃してしまった)選択肢と比べて、次にやってきた選択肢のほうが劣っていたとすると、2番目の選択すれば「あの1番目のチャンスを逃してしまったのは残念」と、かならず後悔する。2番目以降を選ばなければ、「この先、もっといい機会があるかも」という形で後悔を回避できる。なお、これについては、以下の文献が引用されていた。 Tykocinski & Pittman (1998). The consequences of doing nothing: Inaction inertia as avoidance of anticipated counterfactual regret. JPSP, 75, 607-616. 原典を入手していないのでどういう事例が挙げられているのかは不明だが、例えば、お見合い相手がそこそこ気に入ったのに断ってしまった人がその後の別のお見合いを次々と断って婚期を逃すケース、気に入った不動産物件がちょっとの差で他の人に購入されてしまった場合、その後に紹介された物件を断り続けて結局借家暮らしで終わるといったケースなどが考えられそうだ。現実には自分の願望を100%満たせる出来事などありえないと思えば、そこそこの条件でも満足できるはずだが(満足者satisficerの発想)、後悔を恐れて無為を続けると、結果的に消極的、時には、不適応に陥る恐れがありそう。 次回に続く。 |