じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 130930(月)第4回ダイバージョナルセラピーフォーラム(2) 昨日の続き。 今回のフォーラムでは、集団活動への参加を好まない施設利用者への個別対応成功例がいくつか紹介されていた。スタッフの活動の限界ということもあって、集団行事に参加しない人はそのまま個室に閉じこもった状態で放置されたり、「覇気が無い」とか「心を閉ざしている」という「こころ主義」的解釈に終わりがちであるが、それぞれの人へのAssessment(事前の調査、ライフビュー)を適確に行い、それに基づいたPlanning(計画・設計、ゴールの設計)、そして実施(Implementation)に移せば、見違えるように元気になる人もいるし、積極的に集団活動に加わるようになることさえある。報告の中にもあったが、「一日一日を大切にする」なかで、それぞれの人に合った楽しみを見つけていくことが求められる。 もちろん、利用者さんの数と施設スタッフの数は一対一ではないので、24時間個別対応ということは不可能。であるからして、単に楽しんでもらうというだけではなく、他者の助けを極力借りずに自力で関われる活動を探し、かつその活動が自走できる(他者からの付加的な強化に頼らず、その行動自体がもたらす結果によって強化される)ように工夫していく必要がある。 このほか、施設のロケーションを活かした活動の工夫も大切である。海のすぐ近くの施設では、毎日、海岸沿いの遊歩道を散歩する行事を日常化し、さらには海水浴の行事まで取り入れた。これは単に入居者が楽しめるというだけでなく、スリープマネジメントという点でも大いに効果があったという。いっぽう市街地の施設では、海岸沿いの散歩はできない。しかしその地域の特性を活かして、公園やショッピングのほか、時には、郵便局、市議会、ついには市長面会まで実現したというからスゴイ。どんな場所であっても、その地域ならではの魅力があるはずで、それを活かした散歩コースの工夫があるとよいだろう。 あと、興味深い取り組みとして、フェイススケールの利用例があった。実際には暗くて見えないなどうまくいかなかったように見えたが、言葉によるコミュニケーションだけだと儀礼的な感謝などもあって、当事者の本当の気持ちが把握できない可能性もある。なお、これ以外にも様々な情動測定ツールが検討されているとのことであった。 なお、11月からは、今年度の「ダイバージョナルセラピーワーカー(DTW)」養成講座も開講されることになっており、私も講師をつとめさせていただく予定である。 |