じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 農学部前の楷の樹のニセ紅葉。2008年11月6日の写真【右側に再掲】にあるように、ここの楷の樹は、手前のオス樹の右側から紅葉が始まるが、最近は、樹の成長により、後ろ側のメス樹に種がいっぱいなるようになりその赤い茎の部分が先に紅葉したかのように見えるようになった。時計台横の楷の樹(9月23日の楽天版参照)もメス樹のため、実のなった部分が赤くなっている。

 葉っぱ自体の紅葉は11月になってから本格化する。
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2013年10月04日(金)

【思ったこと】
131004(金)NISAの「賢い」活用法への疑問

 2014年に始まる少額投資非課税制度(日本版ISA=NISA)の口座開設申請手続きが10月1日から、始まった。もっとも、我々が税務署に出向いて直接手続するわけではなく、すでに申請手続を予約してあった金融機関を通じた申請となる。初日の申請件数は300万件を超えたとのことである。

 このNISAについては、証券各社や経済系の新聞などで、いろいろな活用法が紹介されているが、私が理解している限りの知識で言えば、それらはどうも本当に有利な活用法ではないような気がする。

 まずNISAの基本的な約束事は
  • 非課税対象:株や投資信託の値上がり益や配当金(分配金)
  • 非課税投資枠:毎年100万円まで(翌年への繰り越しはできない)
  • 期間:5年間(売却しても非課税枠の再利用はできない)
  • 投資総額:最大500万円まで(はじめは100万円から)
  • 制度継続期間:2014年から2023年までの10年間(毎年100万円ずつ非課税枠の設定ができる)
となっており、これを根拠に以下のような活用法がしばしば紹介されている。
  1. 投信積み立てがオススメ。
  2. 短期でくりかえし売買をすると、一瞬で非課税枠を使い切ってしまうので、長期投資向けの株や投資信託を買うのが賢い。
  3. 分配型投信(毎月一定額を分配金として投資家に渡すもの)は不向き。分配金を出す事により、投資にまわしている資金が徐々に小さくなってしまうから。
 しかし、どこかで誤解しているのか、これらのオススメにはイマイチ理解できないことがある。

 私が理解している範囲で言えば、要するにNISAというのは節税対策である。ということは、NISAの枠で購入した株や投資信託が、1年間(保有し続けた場合で最大5年間)にどれだけの株や投資信託の値上がり益や配当金を稼げるのかが重要であって、長期とか短期とか分配型かどうかなどはどうでもいいことである。

 例えば、1年に0.5%程度の利払いしか無い債券型を購入したとする。この場合、100万円の枠に対して1年後にその0.5%にあたる5000円の利益が得られるが、それに課税されたとしても税率20%ならせいぜい1000円の税金を払えば済むこと。これでは、1000円の節税にしかならない。いっぽう、ハイリスクハイリターン型の投信を100万円分購入し、首尾良く150万円に値上がりすれば50万円分が非課税となる。もちろん、逆に値下がりして1年後に40万円に減ってしまうというリスクもあるだろうが、それはそれで、NISAの枠外でのローリスク・ローリターン、あるいは変動のパターンが異なる商品(国内か外国か、円建てか外貨建てか、株式か債券かリートかゴールドか...)などを組み合わせることである程度損失をくい止めることができるはずだ。

 でもって、ハイリスクハイリターン型の投信を100万円分購入して、どこかの時点で150万円になったとすれば、その時点でさっさと売ってしまったほうが、その後ふたたび値下がりした時の損失を防ぐことができるのではるかにお得。「売却しても非課税枠の再利用はできない」とはいうが、50万円も儲かればもうそれで満足。欲張って値下がりすることのほうが遥かに損をする。

 このことにも関連するが、どうみても投信積み立てがお得になるとは思えない。積み立てというのは、例えば、毎月8万3千円ちょっとを積み立てて1年間でちょうど100万円に達するような使い方をすることだと理解しているが、これでは1年間の積分値で50万円の枠しか活用したことにならない。ま、初めて株式投信を始める方であれば、そのほうがリスクが少ないので安心かもしれないが...。

 では、来年1月にドカンと100万円分の株か投信を買うのがいちばんお得かと言えばそうとも言えない。みんながそんなことをしたら、1月の平均株価は大きく値上がりし、結果的に、いちばん高値をつけたところで買わされることになってしまう。それよりも、じっくりと待って、底値に近いと判断された時に50万円分くらいを購入、あとは、さらに値下がりした時に100万円まで買い増しするというのが一番賢いやり方ではないかと思われる。もっとも、NISAにこだわらず、今年12月までのNISA実施前に買っておいて1月以降に売るというほうがお得になるかもしれないとも思われる。

 あと、3.の「分配型投信は不向き」という主張もイマイチ分からない。仮に100万円の元本で、毎月5000円の分配金があったとすると、年に6万円分が非課税になるので決して損ではないと思う。気をつけなければならないのは、分配金累投型であり、私の理解では、累投というのは、形式上は配当金を受け取ってそれをそっくり買い増しするということであるからして(但し、その際の手数料は無料)、NISAの100万円枠をそっくり使っていた場合には、累投分は枠外になってしまいそう。もちろん、分配金一切ゼロなら話は分かるが、大概の投信は、年2回くらいは分配金が出る仕組みになっていたと思う。この場合、分配金を毎月受け取るか、年2回受け取るかということの違いはそれほど意味がないと思う。但し、一部のREIT型投信では、元本を食いつぶしてでも毎月多額の配当を出している商品があるようで、これは明らかにNISAには不向きと言える。

 なおいろいろ書いたが、私自身はごくわずかの投信を保有しているだけで、株式や先物取引などには一切手を出していない。NISAはいちおう申し込んでいるけれども、給与削減、退職金削減のおり、果たして、その枠を使えるほどの資金があるかどうか心許ない。