【思ったこと】 1301205(木)電子たばこはどうなる?
12月5日のモーサテで、米国で電子たばこの販売が急激に伸びているという話題を取り上げていた。売上高は10年後には4兆円以上になり本物タバコと肩を並べると予想されているという。また、10月にはマンハッタンで、電子たばこバー「ヘンリー・ベイポリアム」がオープンしたという。
米国で販売されている電子たばこの場合は、
- ニコチンを含む液体を熱し蒸気を吸引するもので、ニコチンの量を調節できる事から禁煙に有効とメーカーは主張
- 高いたばこ税がかからず、広告規制がない。
- いろいろな香りをつけたものも販売されており、子どもや未成年の喫煙習慣を高める恐れがあるとの批判も。
というような内容であった。
また、日本でも、JTがプルームなる新種のタバコを12月12日から発売する予定であるという。但し、当該サイトによれば、
- 「プルーム」は、たばこ葉が詰まった専用の「たばこポッド」を、火をつけることなく電気を用いて加熱することで、たばこの味・香りを楽しむたばこ用具です。
- 今回発売する「プルーム」および「たばこポッド」は全く新しいスタイルでたばこを楽しめる画期的な製品で、「たばこポッド」を「プルーム」に挿入し、電気で加熱することにより、「ベイパー(Vapor)」【たばこ葉由来の成分が含まれた霧状のもの】を発生させて使用します。
- 「たばこポッド」には本物のたばこ葉を使用していることから、いわゆる電子たばこと異なり、たばこ葉の味・香りをお楽しみいただけます。
- すでに本年5月のオーストリアを皮切りに、韓国、イタリアで当社の海外子会社であるJTインターナショナルが本製品を発売し、好調なスタートを切っています。
というように案内されており、モーサテで紹介されたような、ニコチン液体を蒸気で吸引するタイプとは本質的に異なるようであった。
ちなみに、ウィキペディアの当該項目によれば、日本国内では、
ニコチン入りの電子たばこを国内で販売することは薬事法に抵触するため、国内の業者が販売している製品はそのすべてがニコチンなしのものである。オークションなどでニコチン入りの電子たばこが売られていることもあるが、上述のように薬事法に抵触するので、自身の所有する電子たばこを人に譲渡したり売ったりしたいと考える場合には注意が必要である。ニコチン入りの電子たばこを入手したければ海外ショップから個人輸入をしなければならない。
と記されている。いっぽう、今回JTが発売するものは、あくまでタバコの一種であるからして、当然、紙巻きタバコ喫煙の場合と同様の規制(未成年者喫煙禁止、禁煙場所での喫煙禁止)の対象になると思われる。
今回JTが売り出すような「プルーム」の場合は、タバコと同様の依存性、健康被害があるものと想定される。しいてメリットを挙げれば、
- 吸い殻ポイ捨てが無くなること(←但し、これはメリットというよりも、平然とポイ捨てをする身勝手な喫煙者が存在すること自体が問題)
- 火を使わないことで、喫煙を原因とした火災発生の危険が減る
- 燃焼に伴うタールや一酸化炭素なども発生しないことで、それらに関係した健康リスクは低減する
ことなどが挙げられるかと思う。とはいえ、ニコチンという薬物依存からは逃れられず、結局、仕事を中断したり授業を抜け出して喫煙するといった時間的コストを強いられることに変わりはない。
いっぽう、米国型の電子タバコの場合であるが、これはそもそも、薬事法に抵触するということなので、日本国内では今後とも普及しないだろう。但し、個人輸入などで粗悪品を使用した場合に、さまざまな健康被害が発生する恐れが懸念される。また、ウィキペディアの当該項目では、
- ニコチンは身体的依存と精神的依存がある。販売業者によってはその禁煙効果を大きくうたっている所もあるが、基本的に、ニコチンなしの電子たばこについては香料の含まれる気体を吸うのみであるため、身体的依存によるニコチン摂取量低減などの医療的な効果はほとんど期待できず、口寂しさを紛らわす精神的依存の解消効果に留まる。
- 一部報道によると、WHOは2008年9月にこれを否定し電子たばこによる吸引に対し疑問を呈し、一部の粗悪な製品には毒性のある物質が含まれている可能性もあると注意を呼びかける声明を出している。いずれにしても、深刻なたばこ依存を改善する禁煙治療には禁煙外来などの専門医へ相談することが推奨される。
- 電子たばこが喫煙具だけではなく、ニコチン無添加の風味を楽しむカートリッジがあり各種菓子味など未成年者にとっても魅力的な風味があることも議論の対象となっており、専門筋は喫煙に向かわせるきっかけになると危惧している。
- アメリカ食品医薬品局 (FDA) は一部の電子たばこに発がん性物質をはじめとする毒性物質が含まれることを報告書内で示している。
- WHOおよび米国疾病管理予防センター (CDC) は若年者の使用においてニコチン依存の増大と喫煙に向かわせるリスクを懸念していることが示されている。
- 電子たばこ吸引中に電池が爆発し、前歯が折れ舌の一部がちぎれるなどの大けがをした事故も報告されている。
などの問題点が指摘されている。いずれにせよ、WHO(世界保健機関)が作成したICD-10では「依存」は、
ある物質あるいはある種の物質使用が、その人にとって以前にはより大きな価値をもっていた他の行動より、はるかに優先するようになる一群の生理的、行動的、認知的現象。
として定義されており【2013年7月31日の日記参照】、喫煙習慣は、定義上、明らかな薬物依存の1つである。タバコ自体の有害性や周囲への迷惑はもちろんだが、薬物依存の状態で健康的な生活をおくることができないのは明白。私自身も、この話題が出たことを機会に、いっそう力を入れて、岡大敷地内喫煙ゼロをめざす安全衛生委員活動に取り組んでいきたいと思っている。
|