【思ったこと】 14023(木)屋根部屋のプリンス(4)悪が福をもたらすこともある
昨日の日記では、ドラマの中での「悪」というのはあくまで主人公側からみた相対的なものであること、かつ、悪者にも恵まれない家柄・環境といった事情があることなどに言及した。
以上に加えて、ドラマ上での悪者は、主人公側に福をもたらすこともある。悪者は、普通は主人公を騙してどん底に突き落としたり、せっかくの努力をぶち壊すといった邪魔者として振る舞うが、時には、その悪者が邪魔をしてくれたおかげで新たな機会が生まれ、そこから強い絆が生まれることもあるから興味深い。こういうことは、現実の生活でも起こりうると思う。
今回のドラマを振り返ってみると、悪役のテムやセナが悪さをしたことが、結果的にパク・ハやイ・ガクの福につながったという展開がたびたびあった。
- 第1話:
セナがパク・ハをトラックの荷台に置き去りにする→結果的にパク・ハはアメリカに養子として引き取られ、流暢な英語をしゃべったり、自立した生き方を身につけた。置き去りにされなければ、継母とともに市場で魚を売るだけの生活に終わってしまったかもしれない。
このほか、(けっきょく実現しなかったが)ニューヨークでテヨンがパク・ハを誘ったのも、洗面所でテムが偶然耳にしたパク・ハの休日日程をテヨンに伝えたことがきっかけとなっていた。
- 第5話:
パク・ハが青果店開業のために用意していた小切手をセナが奪ったことでパク・ハは再びアメリカに戻ろうとする→イ・ガクがバスを追いかけ、途中、南の島の風景を描いた看板手に入れたあとでパク・ハを連れ戻す。結果的に、この出来事が2人の関係を強めることになった。もしパク・ハが青果店開業に成功していれば、新たな展開は起こりえなかった。
- 第8話:
テムの企みにより、イ・ガクは「カニの醤油漬け」を食べて死にそうになる→イ・ガクを助けようとしてパク・ハは口で息を吹き込む「人工呼吸」をする。結果的にこれが初めてのキスとなる。
- 第13話:
セナによって、イ・ガクがパク・ハに渡そうとしていたマンション契約書が航空券にすり替えられる→結果的にパク・ハは鎮安で観光ガイドをすることになるが、ここでの再会で誤解が解けることが、さらに2人の結びつきを強めることになる。またパク・ハの大家さんのセジュンから「パク・ハ姉さんが好きだから」と教えを受けたことや、1等賞をとったときにもらえる手の甲のスタンプが他の手にコピーされてしまうことなどを知り、セナの悪巧みを見破るヒントを得る。
- 第14話:
セナはチャン会長の娘インジュに成りすまそうとする→チャン会長は最初からセナが長女であり、インジュはまだ見つからない次女であると知っているので、セナがウソをついたことで逆に、テムを代表理事に推してもらおうとする魂胆を見破る。
というような流れにも見られるように、悪役の仕掛けたことが逆に主人公にプラスに働くということは往往にしてありうるものだ。
現実社会においても、「禍を転じて福となす」とあるように、身にふりかかった災難を逆手にとって、それが自分に有利になるように取りはからうという能動的な対処もあるし、いっけん不幸に見えることがむしろそののちの大きな幸せをもたらすということもある。まもなく本格化する受験シーズン、あるいは就活などもそうだが、いっけん失敗したと思われる結果が、かえって次のチャンスを呼び込むことにもつながる。
次回に続く。
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