じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【小さな話題】 佐村河内守さんのゴーストライター 各種報道によれば、「全聾(ろう)の作曲家」「現代のベートーベン」として知られる佐村河内守(さむらごうちまもる)さんが、自身が提案したイメージを基に別人の男性が旋律や和声を含め作曲していたにも関わらず、自身の単独作品として発表していたことが分かった。またこれに関連して、桐朋学園大の新垣隆講師が2月5日、「佐村河内氏のゴーストライターを18年間にわたってやっていた」と明らかにした。 佐村河内さんのことは2013年4月3日の日記でも取り上げたことがあるが、まさか、そのような裏話があるとは夢にも思わなかった。 この問題については、当事者本人の倫理的な問題と、曲そのものの芸術的評価は分けて考える必要があると思う。芸術作品は、作品そのものに加えて、それが創られる時の文脈や状況、制作者の個人的事情、鑑賞者側の状況などによって評価が変わることは承知している。しかし、童謡や民謡のように作曲者不詳であっても歌い継がれる曲もあるわけで、本来は、作品だけの独立した価値というものがあるはずだ。もっとも、作曲者偽装によってCDが大量に売れたという場合は、その事情を知っていて儲けた人は当然、詐欺の容疑をかけられるものとは思う。またそれ以上に、この曲で励まされてきた人々、とりわけ子どもたちに与える精神的ダメージには計り知れないものがある。 |