【思ったこと】 140323(日)連休中に視たTV番組から(2)世界で一番大きなお金〜ヤップ島〜
昨日に続いて、3月の連休中に視た、印象に残った番組をいくつか。
- 世界で一番大きなお金〜ヤップ島〜
初回放送は2013年11月14日、2014年1月3日再放送の「地球一番選」の時に録画しておいたのだが、なかなか視る機会が無かった。
単に形だけ大きな、珍しい石貨の話題かと思ったが、現地の長老のお話では、現代の通貨とは全く異なるかたちで機能していることが分かった。長老のお話で印象に残ったのは、
- 石貨(マチャーフ)という言葉は、自分をより良い人間に変えていくことを意味し平和ともつながっている。
- 外国のお金(サルピイ)はヤップ語のササルピイからきた言葉で、英語でいうとトリックとかトリッキーとなる。それは自分のためだけに物や富を手に入れることを指す。
- 外国のお金ではあらかじめ商品に値段がつけられている。ヤップでは、誰かが所有するモノはすべて値段をつけようがないほど貴重と考える。持ち主がどれだけ苦労や時間をかけてどのようにしてそれを手に入れたのか他人には分からないからだ。石貨を使う時は、ある「モノ」を買っているのではなく、誠意と敬意をもって「どうかこれでお助けください」と自分がどれだけそのモノを必要としているのか持ち主に請うているのだ。
- 石貨がなくては島の中で村や人々の関係を円滑に保つことがとても難しくなる。
このほか「小型の石貨は穴に棒を通して運ばれるが、大きい石貨はそのまま置かれ、所有権のみが移行する。」というのもまことに興味深い。
番組を視ただけなので実状を誤解しているかもしれないが、石貨は、ある種の感謝状や記念碑のようなもので、行動分析学の用語で言えば、その人の努力や苦労を称える社会的好子(コウシ)であるようにも思えた。また、ある種の地域通貨としても機能しているようにも見えた。
番組を視た限りでは、村人の多くは今でも自給自足を原則としており、ビンロウの収穫で得られるわずかの現金収入は教育費などにあてているようであった。こうした社会では、人を働かせるツールとしてのお金は要らない。このことが独自に機能する石貨をもたらしたように思えた。もっとも、取材のできなかった地域もあり、そのいっぽうで、街中ではドルも流通しているとのことで、現在、石貨がどの程度まで機能しているのか、単なる「古き良き伝統」という昔話に終わっているのかは不明であった。
なお、この地球イチバンの2013年度の放送はすでに終了しており、来年度からは世界で一番美しい瞬間(とき)に移行するらしい。イチバンというとどうしても「ナンバーワン」を想像してしまうが、これまでの番組も、その続編らしき番組も、むしろ「オンリーワン」という質的な価値を強調しているように思える。
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