じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 4月14日(月)の日の出。今月は、4月15日に皆既月食、4月29日に金環日食が起こるが、日本からは見られない。なお、4月14日の21時53分には火星が最接近となる。


2014年4月13日(日)

【思ったこと】
140413(日)長谷川版「行動分析学入門」第1回(4)原因にもいろいろある(3)目的因についての補足

 前回、アリストテレスの「四原因説」(しげんいんせつ)をご紹介しました。
  • 質料因 material cause (hyle)
  • 形相因 formal cause (eidos)
  • 作用因 efficient or moving cause (arche)
  • 目的因 final cause (telos)
 ウィキペディアの該当項目では、この四原因の説明として「焼きそば」が例示されています。
  • 焼きそばの質料因は、生麺や豚肉など、焼きそばの材料を指す。 質料も参照のこと。
  • 焼きそばの形相因は、「焼きそば」の本質、人が食べるものである。 料理人が焼きそばを作る場合、その料理人の頭の中にある「焼きそば」の概念が形相因である。
  • 形相因と質料因は、「焼きそばとはなんなのか」の問いに答えるものである。
  • 焼きそばの作用因は、「焼きそばがここにある原因」、つまり料理人による実際の「調理」そのものを指す。 現在「原因」と言った場合、多くこれを指す。
  • 焼きそばの目的因は、「焼きそばがここにある目的」、つまり「空腹を満たすため」「売り物にするため」などの目的を指す。 作用因と目的因は、「何故焼きそばがそこにあるのか」の問いに答えるものである。

例としてなぜ焼きそばが用いられたのかは不明ですが、わかりやすい例であることは確かでしょう。宇宙人が地球探査のためにやってきて初めて焼きそばを目にした時には、四原因説と同じような観点から、これは一体何でできているのか、どういう形や性質のものか、どうやって作られたのか、何のために作られたのかを分析することになるでしょう。

 もっとも、あらゆる事物が四原因で成り立つとは限りません。例えば、マッターホルンという山は大変美しい形をしていますが、何かの目的のために造られたわけではありません。岩石の性質と長年の風化作用によって結果的にああいう尖った形になったのです。また、人間が関与して出現した事物であっても、地獄の門(ダルヴァザ、Darvaza)」(トルクメニスタン)のように、偶発的な事故やその後の想定外の結果として存在している光景もあります。

 行動分析学が明らかにしようとする行動の原因は、アリストテレスの枠組みで言えば、「作用因」に関わる原因ということになります。また、安易に「こういう目的のために行動した」というような「目的因」的な説明でナットクしてしまうことはありません。但し、人間や動物の行動には、個々バラバラ、断片的に起こっているのではなく、ある種のまとまりをもって連携し、一定の積み重ねの結果としてより大きな結果に到達する場合があります。例えば、「金づちで釘を打ちつける」という行動が「家を建てるという行動」の一貫として、他の大工仕事と連携しながら遂行されている場合、そのまとまりや方向性について考察することは、結果的に目的因に言及したことになります。前回、「何人かの著名な行動分析学者は、4番目の目的因も研究の対象にすべきだと論じています。(例えば、Howard Rachlin)。」と述べたのも、そういうことを意味しています。

 不定期ながら次回に続く。