じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
岡大西門の西側(入って左手)の花壇でアヤメと青花のダッチアイリスが同時に開花した。どちらも、青色と黄色から構成されているが、花の形は大きく異なる。また、アヤメは花の一部に網目模様が入っている。 |
【思ったこと】 140428(月)長谷川版「行動分析学入門」第4回(3)オペラント行動とオペラント条件づけ(3)行動随伴性の基本(1) 前回までのところで、オペラント行動は 刺激が無くても自発される行動で、行動の結果によって以後の自発頻度が増減する。 という点で、レスポンデント行動とは異なるというように説明してきました。厳密には、上記の「刺激が無くても自発される」という部分がオペラント行動の定義であり、「行動の結果によって以後の自発頻度が増減する」というのは、観察や実験や日常経験を通じて知ることのできた、「オペラント行動の特徴」と言ったほうがいいかもしれません。但し、レスポンデント行動はその行動の結果によって増減することはありません。咳、くしゃみ、発汗、瞳孔収縮といったレスポンデント行動に罰や報酬を与えても増やしたり減らしたりすることはできません。いっぽう、オペラント行動が行動の結果によってどう変わるのかは、少なくとも4通りの基本形があり【後述】、また、結果が弱かったり遅延した場合には、行動の増減が見られない場合もあります。 いずれにせよ、まず、具体例を挙げてから考えることにしましょう。ここでは、大昔、人類が狩猟や採取で生活していた時代を思い浮かべてください。
以上の事例では、行動の直前と直後において、以下のような変化が起こっていることに気づきます。なお、ここでは、直前や直後において、何も無い(正確には、その行動に直接関わってくるような具体的な環境事象が存在しない)状態を、【 】というように表し、何かの事象が出現したり消失した場合には【 】の中にそれを記すようにしています。
みずから環境に働きかけ、環境を変化させたり、変化を食い止めたりするような行動 という行動の適応的意義に触れましたが、上掲のa.とb.は、その行動を増やすことが適応上有利になるような行動であると言えます。いっぽうc.やd.は、その行動を減らしたほうが有利になります。初めて行動を自発した時には、その行動が有利な結果を招くのか不利な結果を招くのかはまったく分かりませんが、上掲のような形で、以後の行動を増やしたり減らしたりするしくみがあることで、結果的に、有利に適応していくことができるようになります。 もっともここで留意すべき点が2つあります。 1つは、「行動の結果」とは言っても、必ずしも因果性は前提にされていないことです。行動している本人(行為主体)が唯一経験できるのは、行動の直後に環境がどう変化したのかというだけです。行動の直後に、全くの偶然で変化が起こるということもありえますし、第三者が影からこっそり操作していたのかもしれません。「行動の結果」というのは、こういうことをすべてひっくるめた変化のことを言います。それゆえ、行動分析学では、「行動が結果を引き起こす(cause)」のではなく、単に「行動に結果が伴う(contingent)」という意味を込めて、「随伴性(contingency)」という言葉が使われています。また、 【行動の直前の状態】→オペラント行動→【行動の直後の変化】 というように、行動の直前・直後の変化を記述することは「行動随伴性」と呼ばれています。 もう1つは、環境への適応方略としての行動のところでもお断りした通りで、私たちに備わっている適応方略は、原始時代の過酷な環境の中で生き延びるために淘汰されたものであり、モノがあふれる現代社会には必ずしも通用しなくなっています。むしろ、行動随伴性によって問題行動が作り出されたり、望ましい行動を増やすための行動随伴性がうまく働いていないといったことが起こっている点に目を向ける必要があります。 不定期ながら次回に続く。 |