じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
東西通りのサツキツツジの赤い花が見頃となってきた。東西通りの石垣の上にはヒラドツツジとサツキツツジが2層に植えられており、ヒラドツツジのほうはGWの頃に見頃となる。2012年5月25日の日記に、大学構内のサツキツツジの名所の紹介あり。なお、過去日記の中に、「サツキツツジ」とすべきところを「キリシマツツジ」としている記事がある。このほかクルメツツジとキリシマツツジの混同もあり、一度訂正しても、翌年にはまた混同したりする。 |
【思ったこと】 140525(日)長谷川版「行動分析学入門」第7回(12)好子出現の随伴性による強化(19)部分強化と強化スケジュール(6)変比率スケジュールとギャンブル(1) 変比率スケジュールのもとで行動が活発に生じるというのは大変興味深い現象です。要するに、10回行動すれば確実に好子が出現するという定比率スケジュール(FR10)よりも、平均10回という条件は同じだが、不確実に好子が出現するという変比率スケジュール(VR10)のほうが行動が活発に起こり、しかも消去されにくいのです。 例えば、100回玉を打つたびに、チンジャラジャラと90個の賞球(ご褒美)が確実に貰えるというパチンコ台があったとしてもお金を出して遊ぶ人はいません。くたびれるだけの単純作業であり、しかも、100個の玉を打って戻ってくるのは90個ですので、遊べば遊ぶほど損をしていきます。これに対して、わずか1回打っただけでも賞球が出ることもあり、時にはそれが連続したり、また逆に200回打っても300回打ってもいっこうに玉が出てこないというように、変比率スケジュールに基づいて賞球が出てくるような条件であれば、結果として平均90個しか玉が戻らなくても、遊技機として十分に成立するはずです。好子出現の確率は同じなのに、なぜこうした違いが生まれるのでしょうか? 昨日も述べたように、その原因の1つは、人間であっても動物であっても、食べ物の獲得機会は不定であること、それゆえ、変比率スケジュールで強化されやすい動物のほうが適応的であった可能性が考えられます。要するに、獲物の少ない森の中に、2種類の肉食動物AとBが棲んでいたとします。動物Aは定比率スケジュールのほうが強化されやすく、動物Bは変比率スケジュールのほうが強化されやすかったとすると、動物Bのほうが生き残る確率が高く、結果としてその子孫が生き残り、地球上に、変比率スケジュール優位の動物が多く存在するようになったという考え方です。但し、これはあくまで想像に基づく解釈にすぎません。 それから、以上までのところで言及した「確実な結果」と「不確実な結果」の問題は、もっと一般的に「確率価値割引」というテーマで広く研究されています。「確実に1万円が受け取れるという条件と、コインを投げてオモテだったら2万円を受け取れるがウラだったらお金は貰えないという条件のどちらを選びますか?」というような研究です。また、ここでは、好子出現の随伴性の枠組みで「確実」と「不確実」を論じていますが、好子消失、嫌子出現、嫌子消失それぞれにおける確実vs不確実の問題はまた別になります。 さて、これでまで述べた通り、多くのギャンブル行動は変比率スケジュールで強化されています。しかし、変比率スケジュールであるというだけではギャンブルは成立しないでしょう【変比率はギャンブルの必要条件ではあるが、十分条件であるとは必ずしも言えないという意味です】。 まず、多くのギャンブルは、参加者にある程度、能動的な行動機会と、スキル上達による強化確率アップという条件を備えています。 このうち、「能動的な選択機会」とは、ボタンを押す、ダイヤルを回す、レバーを引く、(昔のパチンコであれば)親指でバネをはじくといった行動機会です。これがもし、画面を眺めているだけで勝手にパチンコ台やスロットマシンが動き出すというゲームであったら、遊ぶ人は誰も居なくなるでしょう。5月2日に述べた、 好子(positive reinforcers)自体を手にしているだけでは決して幸福にはなれない。好子出現によって強化されているような行動の中にこそ、真の幸福(生きがい)がある。というスキナーの幸福観を援用すれば、行動し、結果として好子が出現するような「行動と結果」のセットでないと、ギャンブルは成立しません。 もう1つの「スキル上達による強化確率アップ」とは、パチンコ、競馬、またギャンブルではありませんが釣りの趣味などがこれに相当します。つまり、技を磨けば磨くほど、好子が獲得しやすくなるということです。この場合、技を磨く努力が累積的に強化されていきますので、熱中の度合いが高まると予想されます。ちなみに、スキル向上と結果の不確実性の関係は、
次回に続く。 |