【思ったこと】 140609(月)長谷川版「行動分析学入門」第8回(6)好子出現の随伴性による強化(32)そのほかの好子出現のスタイル(6)目標との整合性、目標達成度の点検、累積的成果の明示(2)
前回、長期的視点に立った大きな目標を遂行するという話題を取り上げました。その際に掲載した図をもう少し詳しく書き換えてみました【昨日掲載の図自体も新しいものに取り替えてあります。】
かえって複雑になったかもしれませんが、この図を通して言いたいことは次の点です。
- 目標を立てたとしても、目標達成それ自体は好子にはなりません。なぜなら、目標達成という結果は一度も出現しておらず、また、日々の努力行動から目標達成の間までは長期間の遅延があって、行動を直接効果的に強化する力を持たないからです。よって、図に赤色で示した「目標達成のための行動」と「目標達成」という結果は、あくまで形式的な「行動→結果」という関係にすぎません。
- 通常、目標を立てる(立てた)場合には4つの行動が付随します。それらは、弁別刺激【後述】の提示、確立操作、習得性好子の付加といった役割を果たします。それらがうまく機能している時は、目標達成行動は順調に遂行され、そうでない時は、停滞、怠慢、挫折に至ります。
- 目標達成の価値を高める行動/目標と整合性があることの確認
ダイエットが目標であれば「これだけ長生きできる」といった情報、スポーツの目標であれば、優勝の素晴らしさを称える情報。いずれも、目標と整合性のある行動が優先されます。但し、整合性があるかどうかは、必ずしも科学的、客観的に行われているわけではありません。健康食品の選択やカルト宗教信仰の場合にありがちなように、単なる思い込みであっても当事者が「整合性がある」と信じていれば有効に機能してしまいます。
- 目標達成への度合いを確認する行動
これがあることにより、日々のわずかな前進も目に見える形の習得性好子となります。山登りの際の「○○合目」表示、「進捗率○○%」といった明示がこれにあたります。
- 累積的結果の確認・表示
毎日ウォーキング1万歩達成、富士登山100回達成、というように、日々の行動をカウントしてキリのいい数字を達成することを祝う行動です。これは一種の定比率強化スケジュールとも言えます。累積的結果はそれ自体、目標にも、また強力な習得性好子にもなることができます。例えば、「富士山100回登山」というのは、別段、健康保持や信仰登山といった目的が無くても、100回という数字自体が目標でもあり、習得性好子にもなります。
- 周囲の人々に目標や遂行状況を公開。これによって、他者から激励や賞賛といった習得性好子が付加されます。
次回に続く。
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