じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 岡大構内の紅葉隠れスポット。
  • 写真上:理学部北西角からニシキギ越しにアメリカフウ(モミジバフウ)の紅葉を眺める。
  • 写真下:一般教育棟東側から、ケヤキとモミジのグラデーションを楽しむ。




2014年11月18日(火)

【思ったこと】
141118(火)JTについて知ったこと

 沖縄で行われた学会で、JT(日本たばこ産業)について、いくつか新しい知識を得た。

 まず、「JTの一番大切なブランドはメビウスか?」について。タバコを一切吸わない私にとっては、「メビウス」と言われても、ときたま、悪質喫煙者が投げ捨てている空き箱に「メビウス」が多いということくらいしか気にしていなかったが、今回、マイルドセブンの実質的な後継銘柄であることを初めて知った。では、メビウスが一番大切なブランドなのかというと、実は、もっとよく売れているのがウィンストンであり、ウィキペディアのリンク先によると、世界第2位の販売量を誇るグローバルブランドになっているという。なお、タバコ被害の訴訟の多い米国では、R.J.レイノルズ・タバコ・カンパニー(RJR)が製造販売しているという。

 このウィンストンの例にも見られるように、JTというのはじつは、巨大な多国籍企業であり、世界では第三位のシェアを誇り、世界の9カ国ではその国の第一位のシェアを占めているとのことであった。

 JTは多国籍企業であるいっぽう、日本政府が筆頭株主・支配株主という特異な企業でもある。発行済株主数の33.3%は日本国財務大臣が保有しており、それ以下の2位から10位までの大株主は保有数を全部合わせても15.4%で半分にも満たない。このことからみて、現時点では、日本政府には、有害性や依存性を考慮してJTによるタバコの製造販売を中止できる力が残っている。しかし、厚労大臣ではなく財務大臣が筆頭株主であるとなれば、結果的に税収優先とならざるを得ない。いずれにせよ、Japanを冠した「半国営企業」が、さまざまな国において相当程度のシェアを占めているという事実は、今後、各国で、タバコがもたらす有害性や依存性が認識されるにつれて、大きな国際問題になる可能性もありそうだ。

 もう1つ、JTというと、最近では食品や薬品の生産品も増えており、また、スポーツやイベント(例えば将棋の「JRプロ公式戦」)のスポンサーとしても知られている。しかし、実際には、食品や薬品の営業利益はマイナスになっており、むしろ、それらの広告・宣伝活動を通じて、クリーンなイメージを形成するという戦略的な面が大きいとも指摘されている。【ウィキペディアの当該項目にあるように、2004年に日本国が署名し2005年に発効したたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約により、たばこCMは完全に禁止されているため、以降、JTは放送媒体ではタバコの宣伝ができなくなった。これに代わって、JT製の飲料・食品や喫煙マナー・企業イベント、企業のイメージ広告などのCMを行っている。】

 岡大構内に関しては、岡大敷地内喫煙ゼロをめざす安全衛生委員活動日誌を通じて、日々、違反喫煙や吸い殻ポイ捨て状況をWeb発信しているところである。18日にも、講義棟周辺の「喫煙禁止」のポスターの真下で女子学生1名が喫煙しているのを目撃したところであるが、彼女にしても、そこが禁煙であることは十分承知の上で、禁断症状に耐えきれずにやむなく吸っていたものとは思う。この活動を始めた当初は、もっぱら、「喫煙者は大学環境破壊者であり大学の敵だ」という怒り先行の気持ちがあったが、最近はむしろ、いまだに喫煙を止められない喫煙者を気の毒に感じることが多い。ニコチン依存がいかに、喫煙者の倫理観、道徳観を破壊していくのか、非喫煙者にも参加を呼びかけつつ禁煙サポート体制をさらに強める必要があるように思う。