じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 11月24日の楽天版に半田山植物園のイロハモミジの写真を掲載したところであるが、文学部西側でも美しい紅葉が出現している。たまに訪れる植物園と違って大学構内は一日に何度も通るので、朝、昼、夕で異なった角度から日が当たるところを眺めることができる。



2014年11月24日(月)

【思ったこと】
141124(月)物価上昇の「期待」と「予想」と「懸念」

 11月25日朝のモーサテでは、東大・渡辺努先生が出演し、物価2%上昇の「期待」と「予想」と「懸念」について興味深いお話をしておられた。

 番組で提示された渡辺研究室の資料(消費増税前の調査?)によると、1年後の物価上昇については、
  • 「かなり上がる」と答えた人 15%
  • 「少し上がる」と答えた人 60%
  • 「変わらない」と答えた人 23%
  • 「少し下がる」と答えた人 2%

となっていて、75%が物価上昇を「予想」していた。しかし、「物価目標2%は望ましいか?」という質問に対しては、
  • 「望ましくない」と答えた人 16%
  • 「やや望ましくない」と答えた人 49%
  • 「望ましい」と答えた人 33%
  • 「非常に望ましい」と答えた人 1%

となっており、過半数の人が「期待」をしていないことが示されていた。

 かつて狂乱物価を経験した世代の私から見れば、物価が上昇しても良いことなどはありえない、
  • 「期待」というのは、本来「予期する、予想[覚悟]する」という悪い意味を含む「expect」の誤訳ではないか
  • 「期待インフレ率」は「予測インフレ率」とすべきではないか

などと思っていたが、上記の資料からみても、国民の多くは、物価上昇を期待しているのではなく、「物価上昇予期」、あるいは「物価上昇懸念」をいだいているように思われた。

 もっとも、渡辺先生や黒田・日銀総裁は、物価がある程度上昇していくことが経済の好循環をもたらし、また財政健全化の一助にもなると考え、「懸念」ではなく、心底「期待」しておられるように見える。専門的なことは全く分からないが、デフレの状態が続くと生産活動は停滞し、税収が伸びないことと実質的な負債が増加していくということは私にもある程度理解できる【←要するに、物価が2倍になれば、国の借金は半分に減るということか】。いずれにせよ、世界各国がこぞって持続的な循環型社会を目ざすならともかく、現状はこれとは異なる競争環境となっており、その構図が崩れない限りは、成長戦略によって優位を保ち、発展途上国との経済格差に依拠して自国民の富を増やし、また、近隣諸国との力のバランスを保つことで平和を維持するということにならざるを得ないのかもしれない。ま、いずれ、発展途上国が経済発展を遂げて先進諸国と肩を並べるようになった時には、成長戦略が八方塞がりとなって、近隣諸国の圧力に怯えながらも自給自足で細々と国を維持していくようになるのかもしれないが、それは何十年も先のことになるのであろう。

 番組では、もう1つ、「1年後のあなたの収入は?」という調査結果も示されていた。
  • 「改善」と答えた人 2%
  • 「たぶん改善」と答えた人 11%
  • 「変わらない」と答えた人 57%
  • 「たぶん悪化」と答えた人 22%
  • 「悪化」と答えた人 8%

 この資料を見る限り、収入の減少を懸念する人は30%に達しているいっぽう、収入が増えると考えている人は13%に過ぎない。物価が上がるかもしれないと「懸念」しつつ、収入が「変わらない」、「悪化」と予想する人は、当然、将来に備えて節約をするほかなないので、消費を減らさざるを得ない。

 私個人の場合は、定年退職後の生活保障の心配があるので、収入が多少増えたからといってムダな消費に回すわけにはいかない。体力のあるうちでなければ参加できないような海外旅行には日程上少し無理をしてでも出かけるが、外食とか車とか服のようなものには一銭もお金をかけたいとは思わない。