じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
2月18日午前に開催された「なぜタバコがやめられないのでしょう?」講演会(岡大・保健管理センター主催)。大教室ながら座席の8割方が埋まる盛況であった。 |
【思ったこと】 150219(木)タバコがやめられない理由(1)タバコとドーパミン 2月18日(水)の午前中、一般教育棟で、保健管理センター主催の、 タバコを吸う人も吸わない人も「なぜタバコがやめられないのでしょう?」 という講演会が行われた。講師は、禁煙センセイとして知られる、岡山済生会総合病院・がん化学療法センターの川井治之(かわい・はるゆき)先生。 この種のタイトルの講演会は、非喫煙者は自分には関係ないのでわざわざ行かないし、また喫煙者はそういう話を聴いても楽しくないのでやはり行かない、となると結局、参加者10数人程度に終わってしまうのではないかという危惧をいだいていたところであったが、実際に教室に行ってみると大教室ながら8割方は席が埋まっていてびっくり。どうやら、教養教育科目とリンクしていた模様。 さて、喫煙問題というと、まずは健康被害が大きく取り上げられるが、今回はもっぱら、なぜ喫煙が習慣性、依存性につながるのかといった話が中心となっていた。 川井先生によれば、その一番のカギは、ニコチンが脳の側坐核に作用し、ドーパミンを増加させることによって起こることにある。【医学的な知識が無いので一部表現が間違っているかもしれない。念のため→】喫煙によって血液に入り込んだニコチンは、わずか5〜7秒で脳に到達しニコチン受容体を刺激する。この速度は注射よりも速いという。また、このようにして脳内報酬回路に働く機序は、他の薬物依存とも共通しているとのことであった。 これだけの話であれば、タバコの健康被害(発がん性や呼吸器疾患)が全く無かったと仮定した場合、ニコチンの純粋作用は、やる気、快楽、意欲を増大させ、健康にプラスに働くように思えてしまう。しかし、実際にはその逆で、ニコチンによって普段から無理やりドーパミンを出している人は、タバコ以外の楽しみがあってもドーパミンが出にくい体になってしまう。要するにニコチン依存症というのは、「タバコでしかドーパミンが出せない症候群」ということになる。そうなってしまうと、美味しいものを食べても、何かの目標を達成できても、あるいは山登りの際にやっとのことで頂上に達することができても、それだけでは物足りない体になってしまう。食後や仕事を終えたあとの一服で満足するのは、本来ならタバコ無しでも十分に喜びを感じる瞬間にあるべき時に、タバコの助けを借りないとその感動が味わえないという体になっていることを意味している【そう言えば、かつて、タバコのコマーシャルに「今日も元気だ たばこがうまい!」というCMがあった】。 タバコ肯定論の中に、喫煙がストレス解消につながるという主張があるがこれも科学的には根拠が無い。喫煙者の精神状態は常に「離脱症状(禁断症状)によるイライラ状態→喫煙直後のゼロ状態への回復→離脱症状(禁断症状)によるイライラ状態→喫煙によるゼロ状態への回復→...」を繰り返しており、常にマイナス状態とゼロ状態を行き来しているだけにすぎない。しかるに、喫煙直後に急激なプラス変化が得られるため、タバコはストレス解消につながると錯覚してしまう。 また、そもそも、仕事や人間関係上のストレスというのは、その根本原因を取り除かない限り決して解消できないものである。タバコを吸えば吸うほど人間関係が改善するなどということはありえない。けっきょく、 ●タバコはあなたをリラックスさせるものではなく、ストレスとなるのです。 という結論に達する。 次回に続く。 |