じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 岡大構内に出現したイノシシ(10月31日)と着物女性(11月1日)。イノシシの模型(?)のほうはおかやま狩猟フォーラム【詳細チラシはこちら】の企画の一環と思われる。着物女性のほうは看板にある通り、きもの文化検定試験の案内。模擬問題2級を見たが、私にとっては難解で全く解けそうにもない。

2015年11月01日(日)

【思ったこと】
151101(日)自動運転車開発はほどほどに

 各種報道によると、2年に1度の車の祭典「東京モーターショー」で「自動運転(ロボットカー)」が注目されているという。自動運転といっても、4段階のレベルがあり、
  • レベル1 安全運転支援:加速・操縦・ブレーキのいずれかをシステムが自動で行う。
  • レベル2 準自動運転:加速・操縦・ブレーキの複数の操作をシステムが行い、必要に応じて運転者が操作する。
  • レベル3 準自動運転:全てをシステムが行い、緊急時のみ運転者が操作する。
  • レベル4 完全自動運転:運転者が全く関与せずに走行する。
となっており、レベル1はすでに実現済み、レベル2が2017年以降、レベル3は2020年代前半、レベル4は2020年代後半に実現すると期待されているらしい。

 このうち、レベル1の安全運転支援については大いに有用であり、とりわけ、障がい者や高齢者への支援になると思われる。しかし、レベル2以上の開発が本当に必要かどうかは疑問を持たざるを得ない。

 まず、自動化されることによって新たに発生する様々な問題がある。ウィキペディアの該当項目には、「潜在的な障害」として以下を挙げている【2015年11月2日現在】
  • 損害賠償責任
  • 車を運転することを奪われることへの個人の抵抗
  • ソフトウェアの信頼性
  • 車車間通信によって車載コンピュータに不正アクセスされる可能性
  • 自動運転車の法的枠組みと政府規制の確立
  • マニュアル運転が必要になるケースでのドライバーの運転経験不足
  • 運転に関わる職業がなくなる
  • プライバシーがなくなる
  • 自動車の無線通信に使用する周波数帯域の確保の問題
  • 爆発物を積んで自動運転車を爆弾化される可能性
  • 衝突不可避の状況で、自動運転車のソフトウェアが複数の事故コースのどれを選択するのか、トロッコ問題に類似する道徳的問題。
  • 天候の影響を受けやすいナビゲーションシステム(2014年のグーグルのプロトタイプ車は雪や豪雨で走行できない)
  • 自動運転車には高精度の特殊な地図が必要になるかもしれない。地図が古くなった場合、合理的な挙動にフォールバックできる必要がある。
  • 警察や歩行者などのジェスチャーや合図に自動運転車が適切に対応できない。
  • 職業ドライバーやその組合の仕事を失うことへの抵抗
 上記の中で特に重大と思われるのは、事故を起こした時の責任問題と、テロへの悪用であろう。テロばかりでなく、ロボット兵器の開発に利用される恐れがある。ロボット兵器どうしの市街戦となれば兵士が殺されるリスクは減るかもしれないが、残された市民がロボット兵器で皆殺しされ、人類が滅亡するなどというシナリオも絶対にないとは言えない。

 より根本的な問題として、自動運転化は、「能動的に環境に働きかける」というオペラント行動の権利を奪う恐れがある。これは、自動ドア、歩く歩道、ナビなど、すべてに当てはまることであるが、何でもかんでも機械に任せてしまうと、結局、自ら行動する機会が奪われ、受け身的で何もできない人間になってしまう。実際、自動化が進めば進むほど、運転の下手はドライバーばかりになり、いざ大規模災害によって自力で運転しなければならなくなった時には誰も車を動かせなくなるという恐れがある。

 「人間の手を介さずに出発地から目的地まで走行できる」という機能はまことにありがたいが、それを実現するというだけなら、むしろカートレインを充実させたほうがいい。そのほうが、ガソリンの節約になり、地球温暖化防止にも役立つはずだ。

 ということで、レベル2以降の開発よりも、レベル1の充実である。例えば、「一方通行路や高速道路を逆走しようとすると、クラクションが鳴り出し自動停止する」というような機能は、事故防止に大いに役立つと思われる。