じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡大構内にはカイノキ(楷樹)の紅葉の名所が少なくとも3箇所ある。
  • 写真上:農学部前。南側の雄樹の紅葉が見頃となっている。
  • 写真中:本部棟南東側にある黄葉タイプ。年々成長し、目立つようになってきた。
  • 写真下:時計台横。2本とも雌樹で実がなっているため野鳥がたくさん集まってくる。

2015年11月08日(日)


【思ったこと】
151108(日)介護離職と地域包括ケア

 11月9日朝のモーサテで、表記の問題についてニッセイ基礎研究所・矢嶋さんによる分かりやすい解説があった。安倍政権ではアベノミクス・新三本の矢の1つとして「安心につながる社会保障」を挙げているが、じっさいの政策にはちぐはぐな部分があるというような御指摘であった【あくまで長谷川の理解】。

 特に問題となるのが「介護離職ゼロ」を目ざす一方で、特養の入所基準のレベルを上げたり、地域包括ケアにより、家族が介護を引き受けざるを得ない状況が生まれている点である。このほか、「2015年1〜9月における「老人福祉・介護事業」の倒産件数は過去最多の57件、前年同期(40件)と比べて42.5%増加」という記事もある。原因の1つは人手不足にあり、その一方、福祉施設介護員やホームヘルパーの賃金は全業種平均に比べて低い状態が続いている。これについては「頑張った人が報われるような市場性導入(特養の一部株式会社化)や介護報酬単価の柔軟化といった市場性導入」という提言されていた。

 もっとも、市場性導入といっても、介護事業というのは、農業や製造業のように何かを造るわけではないので、頑張れば頑張るほど、あるいは効率化を進めれば進めるほど利益が増えるわけにはいかない。けっきょく、一部の富裕層は手厚い介護を受けられる一方、低所得者層は、効率性重視、あえて酷い表現をするなら養鶏場のニワトリのような環境での介護しか受けられなくなる恐れもある。かといって、介護保険や税金を投入することになれば、若者世代の経済的・時間的負担はますます重くなり、国の財政も悪化してしまう。

 このほか、番組では、子育て支援策と介護離職対策との違いも指摘されていた。子育て支援のほうは(子どもが独立するまでの)期間がはっきりしているので対策をとりやすいが、家族の介護というのは年数が不確定で先が見えない(しかも、子育ては子ども成長とともに負担が軽くなるが、家族の介護のほうは時が経てば経つほど負担が重くなる)という特徴がある。

 けっきょくは、健康寿命を延ばす努力、介護予防の施策、高齢者が若者世代に頼らずに可能な限り自立的に生活できるような都市設計などを重視していくほかはないのかもしれない。私自身も、「老後の生活資金を貯める」などというような安易にお金に頼る楽観論は捨てて、自力で日常生活を維持できるよう、スキルを身につけつつ、健康増進・維持につとめていきたいと思う。