じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡大構内を流れる座主川は、旭川で取水する農業用水路であるが、どこで取水し、どういう経路で流れてくるのかよく分からないところがあった。日曜日の朝、散歩を兼ねて三野浄水場方面まで歩いたところ、取水口(写真A)を確認することができた。地図で見ると、旭川からの取水は、三野浄水場付近ではなく、もっと上流の玉柏付近となっていることが分かった。いっぽう座主川に水を供給している用水路本流は、三野浄水場東側を流れる用水路と合流して、岡山市中心部を流れる西川へと続いている。

2015年12月20日(日)


【思ったこと】
151220(日)「サリーとアン課題」からの連想(1)刑事コロンボ「攻撃命令」

 今週の心理学概説の授業で「サリーとアン課題」(Sally-Anne test, Baron-Cohen, Leslie & Frith,1985; Wimmer & Perner, 1983)を取り上げる予定であるが、これに関連した話題を2つほど。

 まずは、BS-TBSで12月14日に放送された、

刑事コロンボ「攻撃命令」

における犬たちの視点の問題である。こちらのあらすじに記されているように、このドラマでは、

  1. 「人生支配研究所」の心理学者エリック=メイスンは、妻の不倫相手チャーリーの殺害を計画。
  2. メイスンは飼い犬2匹に対して、
    • 電話のベルが鳴った時にその場所に駆けつける
    • スピーカーを取り付けたわら人形が「バラのつぼみ(rosebud)」という音声を発した時に、その人形に襲いかかる
    という訓練を施した。
  3. 犯行当日、メイスンは心電図の定期検診。チャーリーは2匹の犬を連れてメイスンの邸宅へ先に戻る。
  4. メイスンは心電図検査中、チャーリーに電話をかける。電話のベルが鳴ったため、犬たちはチャーリーの近くに集合。
  5. メイスンはチャーリーに新聞王ケーンが最期に遺した言葉を大声で言ってくれ(「心電図検査の病院の医師と議論をしたので直接正解を言ってくれ」)と頼み、チャーリーは受話器に向かって大声で「バラのつぼみ」と叫ぶ。それを聞いた犬たちはチャーリーに襲いかかりチャーリーをかみ殺してしまう。
  6. ラストのコロンボと2人きりの場面で、メイスンは犬たちの前で「バラのつぼみ」と叫んでコロンボを攻撃するように仕向けた。犬たちはコロンボに襲い掛かったかと思いきやコロンボをなめ回した。じつはコロンボは「バラのつぼみ」のトリックを知っており、護衛犬訓練所に犬たちの再訓練をしてもらっていた。すなわち、犬たちは「バラのつぼみ」を聞くと、人を攻撃するのではなく、キスするように仕付けられていたのであった。

 上記の「バラのつぼみ」トリックには実は矛盾がある。もし、犬たちが当初、「バラのつぼみ」という音声の発生源に対して攻撃をするように仕付けられていたいたのであれば、6.のところで、犬たちはコロンボではなく、メイスンのほうに襲い掛かったはずである。

 また、そうではなくて、飼い主や訓練士の「バラのつぼみ」という命令に対して他者を攻撃するように仕付けられていたのであるとすれば、5.のところでは、犬たちは、チャーリー以外の別の対象(といってもその場には他に人が居なかったが)を攻撃しようとするはずである。

 要するに、このドラマでは、犬の視点が混同されているのだが、ドラマを視ている人の多くは、犬は「バラのつぼみ」という音声に対して、一貫して敵を攻撃するように仕付けられていたというように錯覚してしまうのである。

 なお、私は犬の訓練については全くの素人であるが、一般に犬は飼い主の命令に従うように訓練できることを勘案すると、上記の2.と6.の訓練は可能であろうとは思う。しかし5.のように、よく慣れている人を攻撃させるように仕付けることはきわめて困難であろうと考える。

次回に続く。