じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 151220(日)「サリーとアン課題」からの連想(1)刑事コロンボ「攻撃命令」 今週の心理学概説の授業で「サリーとアン課題」(Sally-Anne test, Baron-Cohen, Leslie & Frith,1985; Wimmer & Perner, 1983)を取り上げる予定であるが、これに関連した話題を2つほど。 まずは、BS-TBSで12月14日に放送された、 刑事コロンボ「攻撃命令」 における犬たちの視点の問題である。こちらのあらすじに記されているように、このドラマでは、
上記の「バラのつぼみ」トリックには実は矛盾がある。もし、犬たちが当初、「バラのつぼみ」という音声の発生源に対して攻撃をするように仕付けられていたいたのであれば、6.のところで、犬たちはコロンボではなく、メイスンのほうに襲い掛かったはずである。 また、そうではなくて、飼い主や訓練士の「バラのつぼみ」という命令に対して他者を攻撃するように仕付けられていたのであるとすれば、5.のところでは、犬たちは、チャーリー以外の別の対象(といってもその場には他に人が居なかったが)を攻撃しようとするはずである。 要するに、このドラマでは、犬の視点が混同されているのだが、ドラマを視ている人の多くは、犬は「バラのつぼみ」という音声に対して、一貫して敵を攻撃するように仕付けられていたというように錯覚してしまうのである。 なお、私は犬の訓練については全くの素人であるが、一般に犬は飼い主の命令に従うように訓練できることを勘案すると、上記の2.と6.の訓練は可能であろうとは思う。しかし5.のように、よく慣れている人を攻撃させるように仕付けることはきわめて困難であろうと考える。 次回に続く。 |