じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 今年の岡大イルミネーションの写真を12月16日12月23日の楽天版に掲載した。最近では、買い取り機材を使い回しているため毎年の出し物はあまり変わり映えしないようにも見えるが、この企画が始まった2006年と比べると、小物のグッズは大部分、代替わりしていることに気づいた。昔から同じモノだとおもっていたトナカイも、一代目とは大きさやポーズが変わっている。

 なお、過去記録が以下にあり。今年が10年目となるが、例年よりは規模が小さいように見える。

2015年12月23日(水)


【思ったこと】
151223(水)理論心理学会公開シンポ(23)心理学の将来の方法論を考える(15)ベイズ的アプローチと心理学(9)/指定討論

12月18日の続き。

 このシンポが行われた11月14日・15日からすでに1ヶ月以上が経過してしまったので、このあたりで連載を終えたいと思う。

 まず、繁桝先生の話題提供の続き。後半のところでは、「事前確率は主観的で科学的方法になじまない」というベイズ的アプローチへの批判に対して、いくつかの反論が紹介された。

 さらに、虚偽発見やクラスター化による因子分析の例といった応用例、事前知識の活用、MCMC法の発展により推論の結果が分かりやすくなったといった点が紹介された。

 仮説のベイズ的評価についても、従来の仮説検定の問題点の再掲と合わせていくつかの方法が紹介されたが、私自身の勉強不足と、話題提供の時間が限られていたこともあり、十分に理解できるまでには至らなかった。このほか意思決定問題の話題にも言及されたが、大部分は時間の関係で省略された。




 話題提供終了後、福島氏による指定討論が行われた。
  • 坂入氏への質問:包括的媒介変数の活用を純粋に分析手法としてみた場合、類似の方法はあるか?/ある対象を多変数の組合せで柔軟に捉えるということであれば、基礎研究にも利用できるか?
  • 鈴木氏への質問:「最大リアプノフ指数LLE」(初期値鋭敏性)は、心理・行動・生理の何に対応するのか?/アトラクターの形は定性的に比較するのか?/非線形力学を応用するグループでは世界的に「東洋思想的な志向」が共有されているのか?(思想性が壁になっていることはないか?)
  • 村川氏への質問:自然科学との融合を目ざすのか(であるなら、「言語や論理の転換」は行わないほうが良いのでは?/一人称というより一例(個別事例)の追究(例えば神経現象学)のほうがいいのでは?
  • 繁桝氏への質問:適用範囲の広さは?/今回のシンポで提案された3つの方法論への適用は?

 これに対して、各話題提供者から回答があり、またフロアからも若干の補足質問があった。

 記憶に残っている点としては、
  • 坂入氏:非線形までは踏み込んでいない。
  • 鈴木氏:アトラクターの形は、定性的にも定量的にも分析できるが、定量的アプローチはなかなかうまくいっていない。
  • 繁桝氏:他の3つの方法論への適用については、いくつかの前提条件が必要。
ということであったと思う。「東洋思想的な志向」については、一部の大学や学会でそのような志向のあることは存じているが、東洋思想が研究推進に先導的な役割を果たすことはまずあるまいと思う。但し、要素還元主義的アプローチに代わる包括的アプローチを模索する手がかりにはなるかもしれない。ベイズ的アプローチについては、解説書を何冊か取りそろえたこともあり、これを機会に勉強してみたいと思っている。