じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



01月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

 1月15日の朝はよく晴れ、朝日を浴びて時計台が輝いているのが見えた。また、近くの寒紅梅が一輪目の花を咲かせていた。1月16日からのセンター試験受験生を元気づけることだろう。

2016年01月15日(金)


【思ったこと】
160115(金)バス事故の恐ろしさ

 1月15日午前2時ごろ、長野県軽井沢町の国道18号の碓氷バイパスで、スキーツアー客を乗せて群馬方面から長野方面に向かっていたバスが反対車線に出てガードレールを乗り越え、およそ3メートル下に転落。この事故で乗っていた41人のうち19歳から22歳までの乗客12人と乗員2人のあわせて14人が死亡したという。国土交通省によれば、バス事故で死者が10人を上回ったのは、1985年1月に長野市の国道でスキーの貸切バスが川に転落して25人が死亡した事故以来で、今回は、この30年で犠牲者の数が最も多いバス事故となった。

 事故原因については調査中ということであるが、事故当時、気象条件や道路整備には運転に支障となるような点はなかったいっぽう、バス会社の運行管理に不備があったことがすでに指摘されている。

 この種のバス事故については、以前から、運転手の健康管理や過重な勤務時間の問題が指摘されている。以前、外交問題で訪日外国人が減少した時には、バス会社の間でコスト削減のために運転手が過重な負担を強いられているといった話を聞いたことがあるが、最近はむしろ、逆に、外国人旅行者向けの需要が増えてきたために、長時間の運転、あるいは体調が悪くても代わりの運転手が見つからないといった問題が起こっているのではないかと懸念される。

 ちなみに、私自身は、最近は国内では殆どバスには殆ど乗ったことがないが、海外ツアーでは一日10時間以上かけてランクル分乗やバスで移動ということはたびたびある。最近は、欧州新興国や中国などでも高速道路が整備されており、以前に比べるとバスによる移動という日程が増えてきたといった話をベテラン添乗員さんから聞いたこともある。

 これまでのところ、直接事故に遭ったことはないが、
  • 東チベットをランクルで移動中、同じツアーの別のランクルがトラックにはじき飛ばされて道路脇に転落。但し、乗客・乗員に怪我はなし。
  • タクラマカン砂漠南側の凍結した道路で衝突死亡事故があり、数時間以上にわたって酷寒の中で通行止めとなった。
といった経験をしたことはあった。このほか、インドヒマラヤやパキスタンの山岳道路では、ハンドルをちょっとでも切り損ねれば数10mの崖下に転落というヒヤヒヤを体験したこともあった。

 海外ツアーでのバス旅行、あるいは車分乗による移動の場合、運転手の健康管理はその国の基準に委ねられているようであり、日本の旅行会社のほうも現地旅行社に丸投げしているように思われる。早朝の暗いうちに出発し深夜に到着という日程でも、運転手は1人だけ。それでもって何日も移動することがある。飛行機に乗るのが怖いといって海外に出たがらない人もいるが、本当に怖いのはバスによる移動であるかもしれない。といって、それを避けていたのでは、運行管理がきっちりしている一部の先進国以外には旅行できなくなってしまう。ある程度のリスクを承知の上で、保険をいっぱいかけて出かけるほかはあるまい。

 日本人旅行者が海外でバス事故に巻き込まれたというニュースはそれほど多くは耳にしない。また、辺境アドベンチャー系の旅行社主催よりも、大手旅行社主催のツアーのほうがバス事故の件数は多い。もっともこれらはあくまで、母数の違いによるものだろう。日本人が海外で1年間にバス旅行を利用する件数といっても、国内のバス旅行に比べればその1日分にも満たないであろうから、事故確率は高くても発生件数はきわめて少ない。旅行社どうしの比較においても、催行件数の多い旅行社ほど、事故件数の実数が多くなるのは当たり前と言える。

 元の話題に戻るが、1月15日と言えば、かつての成人の日にあたる。スキー・スノボを楽しみにしていた若者たちがこのような事故で命を失うというのはまことに痛ましいことだ。ご冥福をお祈りするとともに、バス事故防止に向けた運行管理の徹底につとめてもらいたいものである。