じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 160131(日)「物価と賃金」の連動性と「ニワトリ・卵」関係 2月1日のモーサテで、東大の渡辺努先生が物価と賃金について解説をされていた。過去データを見ると、物価上昇と賃金は綺麗に連動しているようだ。但しこれは、どっちが原因でどっちが結果というものではなく、ニワトリと卵の関係に似ているようである。ネットで検索したところこちらにいくつかの説明が紹介されていた。【以下、長谷川による要約・改変】
こちらの記事に記されているように、渡辺先生は、「消費者は支出を増やすどころか、生活防衛のために貯蓄増に向かってしまう」、「名目賃金が上がらない予想の下では実質賃金が低下する予想が生まれ、消費を下押す方向に働き、デフレ脱却は果たせない」などと主張しておられた。 もっとも、物価と賃金が完全に連動するのであれば、月給20万円の時に200円で買えたモノが、月給30万円に上昇した時には300円、月給40万円に上昇すれば400円に値上がりすることになり、結果的には何一つ豊かになることはない。「朝三暮四」を「朝四暮三」にする程度の対策にしかならないだろう。 ま、冷静に考えてみれば、生産手段が固定されていて、人口や年齢構成が一定、かつ、金融や物流面での海外との交流がきわめて限られていたとすると、物価と賃金のどちらかだけが上がるとか、物質的な豊かさが向上することはあり得ない。けっきょく、いまの自由主義社会のもとでは、国内の物質的豊かさを向上させるためには、生産技術を改良するか、金融面で他国より優位を保つか、有閑階級を働かせるか、といった別の対策が必要であり、金融政策だけで人々が豊かになるわけではないことが示唆される。 元の話題に戻るが、物価と賃金が完全に連動した場合、労働者の生活自体は殆ど変わらないだろう。但し、物価が上がること自体は、
このほか、いくつかの新興国で顕著になっているように、通貨暴落がインフレをもたらし、防衛のための金利上げがさらなるインフレと通貨下落を招くといった悪循環に陥ることもある。 個人的な利害関係から言えば、私のような年金生活予備軍にとっては、物価は上がらないまま、できれば下がってくれたほうがありがたいという気がする。とはいえ、日本経済全体にとってはやはり賃上げ目標の設定は必要であり、それを前提とした退職金運用計画を立てて老後の生活の安定をめざすほかはあるまいと考えている。 |