じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
岡大構内ではすでにソメイヨシノの一部が開花しているが、桜以外にも見頃となっている花木がある。
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【思ったこと】 160323(水)行動分析学における自己概念と視点取得(7)思考(3)「プロンプティング」と「プロービング」その後 昨日の日記で、Skinner(1953)で論じられていた2×2=4種類の「プロンプティング」と「プロービング」に言及した。しかしながら、「プロンプティング」の手法が、その後、応用行動分析で広く活用されているのに対して、「プロービング」のほうは、『言語行動』(Skinner, 1957)で詳細に論じられているものの、それ以降の文献ではあまり見かけない。その原因についていろいろ文献を調べているところであるが、現時点では不明となっている。 「プロンプティング」あるいは「プロンプト」は、杉山ほか(1998)では以下のように定義されている。 ●正しい行動が起きる確率を高める補助的な刺激 発達障がい児が「赤い」と発話するための補助刺激として「あ、あ、あ」という音声がヒントになるというような例が示されていた。 また、ミルテンバーガー著、園山ほか訳『行動変容法入門』(2006、二瓶社)では、「第10章 プロンプトと刺激性制御の転移」という章が設けられており、「反応プロンプト」として「言語プロンプト」のほか「身振りプロンプト」、「モデルプロンプト」、「身体プロンプト」の合計4タイプ、「刺激プロンプト」として「刺激内プロンプト」と「刺激外プロンプト」の2タイプに分類され、詳細に解説されている。ちなみにここでの「プロンプト」は「行動の遂行の直前や遂行中に提示される刺激であり、強化を受ける行動が起きやすいように手助けするものである(Cooperほか1987)」という定義が引用されていた。 いっぽう、「プロービング」については、『言語行動』の基本構想を述べたVERBAL BEHAVIOR by B. F. Skinner William James Lecturesに(おそらく)初出、その後公刊された『言語行動』(Skinner, 1957)では259〜268頁に、より詳細な記述がある。原書257頁以下では、まず、「formal probes」が「echoic probes」と「textual probes」、「other types of formal probes」に分類されている。また「thematic probes」についてはユングの連想実験などにも言及がありなかなか興味深い。これらの問題は、267頁の「The Question of Awareness in Formal and Thematic Probes」で総括されている。268頁にはロールシャッハテストにも言及されている。 以上述べたように、1950年代のスキナーの著作では「プロービング」が詳しく論じられているが、その後のスキナー自身の著作(例えば、『About Behaviorism』(Skinner,1974の第7章「Thinking」)、あるいは行動分析学関連論文(例えばこちら)では、私がざっと調べた限りでは、プロービングに言及している論文は現時点では見当たらない(但し、大ざっぱな検索のみであり、いっそう精査する必要あり)(※)。 [※] 「プロービング」が形を変えて再び注目されるようになったのは、おそらく、関係フレーム理論ではないかと思うのだが、現時点ではプロービングと関係フレームを結びつけるような記述は見つかっていない。 次回に続く。 |