じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 161222(木)関係反応についての講義メモ(36)長谷川の考え(10) 昨日の日記の続き。今回は再び、「選択型見本合わせ」の話題に戻る。すでに述べたように、コンピュータを使った実験では、まず見本刺激が提示され、少し遅れてから複数の比較刺激が提示される。このうち同一見本合わせでは以下のような配置である。 見本刺激 比較刺激 いっぽう、恣意的見本合わせ課題(象徴見本合わせ課題)では、「AならばB」というように、異なった刺激様相の組合せが正解として設定される。↓の例では、見本刺激としてA、比較刺激としてBとXが提示され、Aを選んだ時が正解とされる。(ここでいうA、B、Xは、何らかの図形や色を意味する記号であり、アルファベットの文字自体が刺激として使われているわけではない。) 見本刺激 比較刺激 上記の実験手続は条件性弁別とも言われるが、佐藤(2007)はこのことについていくつかの疑問を提出している。すなわち、実際この手続の構造は、青いライトのもとで左のキーを押すという手続: 見本刺激 比較刺激 と構造上変わっていないが、左右のキーというのはオペランダムであって弁別刺激ではないという考え方であった。 このほか、数分のサイクルで、青いライトと赤いライトが交代に点灯し、「青いライトのもとでは左のキーを押せば強化」、「赤いライトのもとでは右のキーを押せば強化」という強化スケジュールも考えられる。 いっぽう、子どもを対象とした実験では、 見本刺激 比較刺激 見本刺激 比較刺激 といった組合せも可能である。(上記では、三角形の積み木が示された時には人形を選べば正解、四角形の積み木が示された場合にはボールを選べば正解。) もっともこれが遊戯場面であれば、積み木が先に提示されるのではなく、人形やボールと一緒に提示され、「三角形の積み木と人形」、「四角形の積み木とボール」というようにグループ分けする課題に様変わりしてしまうかもしれない。この場合は、「三角形ならば人形」という一方向の対応づけではない点に留意する必要がある。 以上述べてきたように、ひとくちに見本合わせ課題、あるいは条件性弁別課題といっても、見本刺激と比較刺激が「AならばB」という関係の学習とは言えない場合もある。また、関係反応と、関係文脈についても混同しないことが重要である。 なお、年内の授業が終了したため、この連載はひとまず終わる。 |