じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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1月の岡山は例年より寒く、最低気温が氷点下となった回数は1月25日までに合計10回となった。(岡山では、平年値の最低気温は0.6℃どまりで、平年値が氷点下となる日はない。) 写真は1月25日朝の黒正巌先生像。この日もマイナス3.0℃まで下がったが、朝日を浴びるなか、付着した霜が融けて汗を流しているように見える。 |
【思ったこと】 170125(木)ACTの価値論(1) クォーター制導入後の初の「第4学期」も来週でほぼ終わりとなる。そのうち、「行動分析学入門2」という授業の中で、ACTの価値論を紹介する予定である。 私が知りうる限りでは、この「価値」についてもっとも詳しく解説しているのは、 ハリス(2012)よくわかるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー) の第11章「何が大切かを知る」のあたりではないかと思う。 ハリス(2012)は、まず第1章「ACTを簡単に言うと・・・」(17頁)の中で 心の奥底では,自分の人生がどうありたいと思っているだろうか。何を表現したいだろうか。短い人生において,何がしたいだろうか。些末な事柄から離れて考えたとき,本当に大切なことは何だろうか。価値(values)とは,今起こっていることに求めたい性質である。言い換えれば,継続的にどう行動したいのかを表している。自分の価値をはっきりさせることは,人生を有意義にするうえで欠かせない手順である。ACTでは,価値のことを「選択された人生行路」と呼んでいる。方角を教え,旅を導くものとして,よく方位磁石にも喩える。というように価値の大切さを強調している。 この定義だけを見ると、価値は「幸福」とほぼ同義のようにも思えるが、「幸福」については、ハリスの別の著書の翻訳書のタイトルが『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』とされていることからも示唆されるように、一般的な幸福論とは立場が異なっている。 上記の定義の中で特に重要と思われるのは「価値(values)とは,今起こっていることに求めたい性質である。言い換えれば,継続的にどう行動したいのかを表している。」という部分である。「今起こっている」から、将来ではなく今が重視していることが分かる。また「求めたいモノや出来事」ではなく「求めたい性質」とされていること、さらには「継続的に」という部分がカギとなる。 こうした考えた方は、基本的にはスキナーの幸福論と同じと言えるが、「性質」と「継続」を重視しているという点で新たな展開があるように思う。 次回に続く。 |