じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 文法経グラウンド脇にある杉の木。黄色い部分を叩いたら花粉がいっぱい降りかかってきた。幸い、私自身は花粉症の経験が全く無い。「50歳を過ぎると、加齢現象としてアレルギー反応が弱くなる傾向があるため、花粉症の症状も軽くなると考えられている。」そうなので、この先、発症することはあるまいと思う。

2017年3月9日(木)



【思ったこと】170309(木)オドノヒュー&ファーガソン『スキナーの心理学』(21)第4章 徹底的行動主義(3)

 3月8日の続き。

 第4章では、続いて「ダーウィンの進化論が徹底的行動主義を誕生させた」という節があり、以下のように特徴づけている。【長谷川による要約・改変】
  • 徹底的行動主義では、進化論がそうであるように、生活体がなぜそうなのかを理解するのに、環境の役割と生活体の環境との相互作用を重視する。徹底的行動主義は環境主義と言いうる。
  • 徹底的行動主義における環境主義は、環境に対して生活体は受け身一方で反応していると言っているのではない。生活体と環境との関係は、相互依存的で互恵的(BUou,1993)である。
  • 生活体は環境との相互作用を持つが、生活体の反応は環境を変える。生活体は自分自身の行動で変えた環境の影響を受けながら、さらに行動し、さらに環境を変えていく。したがって、生活体の環境に対する関係は、相互に影響し合うものなのである。
  • 徹底的行動主義は、進化生物学に密接に関連させながら、適者生存の随伴性、強化の随伴性による説明を追求する。言い換えれば、そのメカニズムは淘汰なのである。
 昨日取り上げた「私的出来事」も、私的出来事がタクトされるプロセスは上記と同様である。私的出来事をタクトすることによって、その生活体は、言語コミュニティからサポートを受け、そのことで強化されていく。

 なお、この節の初めのほうで、

随伴(contingency)とは、依存(dependency)あるいは「〜であれば、こうなる関係if then relationship」ということである。すなわち、xが生ずると、yが生ずるだろう。言い換えれば、xの生起に依存してyが生起するという意味である。
と説明されている点については若干疑義がある。随伴性という概念は因果性とは異なる。行動の直後に、偶然に環境が変化した場合でも行動は強化(または弱化)される。また、そのような影響があればこそ、人為的に付加した随伴性で行動を変えることができるのである。手元に本が無いので確認できないが、大学院生の頃に拝読した、

G.S.レイノルズ(著)/浅野俊夫(訳)(1978). オペラント心理学入門 - 行動分析への道

という本の後書きに、随伴性(contingency)と依存性(dependency)についての区別についての言及があり、確か、

●群衆に向かって銃が乱射されたとする。誰かがそれに当たって死んだ場合、その死亡は銃撃に依存している。いっぽう、あなたが弾に当たるというのは随伴性である。

というような説明であったと記憶している。

 次回に続く。