じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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文法経2号館前のアンズの花。一週間前はつぼみ状態だったが、ほぼ満開となった。1つ1つの花の時期は短いが、枝によって開花にばらつきがあるため、結構長く楽しめる。この花が散り始める頃にソメイヨシノが開花する。 |
【思ったこと】170328(火)徹底的行動主義の呼称の起源(9) 昨日に続いて、 佐藤方哉(1985). 行動心理学は徹底的行動主義に徹底している. 理想, 625,124-135. の要約・感想。 この文献は、編集者H氏と佐藤先生(S氏)の仮想対談形式となっているが、学術的に重要な価内容を含んでいる。文献の126〜127頁には「表1 行動分析の基本的枠組」が掲載されている。この表は、ヒルナー[※]の考えを参考に佐藤先生がまとめたものであるという。 [※]Hillner, K.P.(1984).History and systems of modern psychology: A conceptual approach. Gardner Press. ちなみに、この書籍は、この連載の出発点となった、 Schneider, S. M., & Morris, E. K. (1987). A History of the Term Radical Behaviorism: From Watson to Skinner. The Behavior Analyst, 10, 27-39. でも2回引用されている。1箇所目は、「Radical empiricism」との関連、2箇所目はワトソンとスキナーの繋がりに関する部分であった。「表1」で紹介されている行動分析の基本的枠組は、今では行動分析学の解説書でごく普通に取り上げられているが、行動分析学が普及していなかった1985年当時としてはお手本になりうるものであった。 佐藤(1985)にはさらに、フローチャート形式でまとめられた「行動主義心理学の分類」という図が掲載されている。その分岐点の第一は、 ●私的出来事は心理学体系に何らかの位置を示すか? であり、これにYESと答えるのが徹底的行動主義、NOと答えるのが方法論的行動主義となる。 方法論的行動主義はさらに、 ●論理操作的に定義される内的構成概念は必要か? によって、YESと答えれば「論理的行動主義」、NOと答えれば「記述的行動主義(=ワトソンの古典的行動主義心理学)」となる。 「論理的行動主義」はさらに、 ●刺激―反応(S-R)連合という構成概念は有効か? によって分岐し、YESと答えればS-R心理学(ハルの新行動主義心理学)、NOと答えれば「非S-R心理学」になる。「非S-R心理学」はさらに、 ●すべての構成概念は行動の言葉に還元できるか? によって分岐し、YESと答えれば「S-S心理学(トールマンの目的的行動主義心理学)、NOと答えれば認知心理学(現代の情報処理心理学)となる。 なお、この連載でも述べたように「記述的行動主義」は、いっとき、スキナーの行動主義に対して使用されたこともあり、また、「論理的行動主義」と異なる「理論的行動主義」、「目的的行動主義」とは異なる「目的論的行動主義」というのもあり、使い分けに注意する必要がある。 次回に続く。 |