じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 170714(金)ボーム『行動主義を理解する』(54)刺激性制御と知識(4) 7月13日に続いて、 ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社. の話題。 翻訳書142頁からは、時間を弁別刺激にした、より複雑な文脈の例が挙げられていた。実験室実験の例としては、ハトの遅延見本合わせ課題、日常生活場面での例としては、4日前に約束した面会時刻・場所での面会が挙げられていた。 この後者の例についてはもう少し説明が必要と思われる。というのは、4日前の約束がダイレクトに守られるわけではないからだ。例えば、約束した時点で、日時・場所はスケジュール表に書き込まれる。そのスケジュール表には、毎朝、決まった時刻に目を通す。当日になって約束時刻が近づいてきた時は、必要な準備行動をとるというものである。いま述べたほど几帳面に行動しない人でも、「きょうは何か約束があったかなあ」という形で大ざっぱな点検をしている。その一方、日々、多数の面会をこなしている人であれば、それぞれの時刻の直前に次の準備をするかもしれない。要するに、時間的に離れた手がかりは、何らかの形で、直前の先行条件になるように言語刺激化されているはずである。 続いて、142頁後半からは行動連鎖のしくみが解説されている。これは、「ひとつの活動に対する強化子が次の活動に対する弁別刺激として機能する。」という形で定義されている。サーカスの動物たちが行う曲芸はたいがい、この仕組みを応用したものである。また、日常生活習慣に関わる一連の行動も連鎖を形成しやすい。朝起きてから、顔を洗ったり、トイレに行ったり、ヒゲをそったり、歯を磨いたりといった一連の行動は、いつも同じ順番に遂行されるため、よほどのことが無い限りは「うっかり忘れる」ことはない。というか、「うっかり忘れた」というのは行動連鎖がうまく形成されていない段階であるか、もしくは、十分に形成された連鎖が、別の出来事の侵入によって断ち切られた場合に限られており、不注意に起因する「うっかり」が原因になることは殆どない。 次回に続く。 |