じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 170725(火)ボーム『行動主義を理解する』(57)刺激性制御と知識(7) 昨日に続いて、 ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社. の話題。 本書145頁以下では、弁別や刺激性制御について、徹底的行動主義の立場が表明されている。 まず、弁別については、弁別は歴史(履歴)によって起こるのであり、それで説明は尽くされていると論じられている。精神的な事柄や、私的な事柄、内的な弁別装置、注意といった新たな概念を説明に付け加える必要はない。 刺激性制御(stimulus control)という言い方は、刺激がラットや人を制御しているという意味では決して無い。あくまで、刺激が行動に直接影響を及ぼしているということである。このWeb日記や紀要論文などで何度か言及したことがあるが、「刺激が○○という機能を獲得する」というのは、刺激の物理的・化学的性質が変化することでは全く無い。実際に変化するのは行動する個体側にあるのだが、個体内部の変化として記述してしまうとどうしても、内部のメカニズムや心理主義的概念が混入してしまう。「刺激の機能」と記述することで、刺激が影響を与える内容だけをスッキリと捉えることができるのである。 146頁以降では、弁別についてはさらに詳しい説明が付け加えられている。要するに弁別は記述概念であって、説明概念ではない。「弁別したからこれができた」というような説明的記述は間違っている。さらに、弁別を行動に先行する私的事象ととらえ、弁別によって公的な行動が変化する、と考えるのは間違いであるとも指摘されている。 次回に続く。 |