じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 日本行動分析学会第35回年次大会で行われたHarry A. Mackay先生の特別講演。

2017年10月10日(火)


【思ったこと】
171009(月)日本行動分析学会第35回年次大会(2)Harry A. Mackay先生の特別講演

 土曜日の夕刻、表記の講演が行われた。講演者のHarry A. Mackay先生の論文(共著)としては、以前、

Green G, Stromer R, Mackay H.A. (1993). Relational learning in stimulus sequences. The Psychological Record, 43, 599-615.

を拝読したことがあり、ご講演の概略はだいたい理解できた。

 今回の講演の中で若干気になったのは、「one」、「two」、「three」といった「dictated number names」あるいは文字で書かれた単語の学習である。英語の場合、単語の綴りは、ローマ字ほどではないにせよ、一定の規則性のもとに表音文字として機能している。ということは、「oral naming」が学習され、かつ、表音文字の規則性が習得できれば、印刷された文字は、単語としてではなく、文字列として発音できるようになるはずだ。図らずも、Mackay先生は、講演の最後に「domo arigato gozaimasu」というように「日本語」で挨拶されたが、この場合、Mackay先生は、日本語の単語として「arigato」を知っているわけではなく、単に、ローマ字の綴りに合わせて発声しただけと思われる。上の写真の垂れ幕にもあるが、日本語の単語というのは、漢字で書かれた場合と、平仮名や片仮名で書かれた場合では、覚え方自体も変わってくる。平仮名や片仮名は表音文字なので、単語を知らなくても発音できる。漢字の場合も個々の文字の読み方を組み合わせればある程度発音はできるが、日本語の漢字の読み方は複数あるゆえ、結局は熟語単位で覚える必要がある。この場合は、殆ど、単語学習であると言ってよいだろう。

 今回の講演では、単語の順序(例えば、SVOの構文)が取り上げられていたが、フロアからの質問の中で山本先生も発言しておられたように、日本語では語順よりも助詞が重要な役割を果たす。英語では「BILL ATE CAKE.」の語順を変えることはできないし、「CAKE ATE BILL.」とすれば「ケーキがビルを食べた」というように意味が全く変わってしまうが、日本語であれば、
  • ビルが ケーキを 食べたよ。
  • ケーキを ビルが 食べたよ。
  • ビルが 食べたよ ケーキを。
  • ケーキを 食べたよ ビルが。
  • 食べたよ ビルが ケーキを。
  • 食べたよ ケーキを ビルが。 という表現は日常会話の中ではごく普通に使われる。英語では、数列と似たような形で語順を教えることができるかもしれないが、日本語の学習には必ずしも当てはまらないかもしれない。

    次回に続く。