じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 長雨が続く中、岡山の最低気温は、10月16日が14.5℃、17日が13.5℃というように15℃を下回るようになってきた。写真は紅葉が始まった時計台脇のカイノキ。

2017年10月16日(月)


【思ったこと】
171016(月)日本行動分析学会第35回年次大会(8)超高齢社会における行動分析学(6)巨視的視点(3)

 昨日述べたように、私が提唱している「活動」とは、一定期間まとまりをもって継続する複数種類の行動に対するラベルを意味する。

 この概念を明確にするためには、まず「行動」(ここではオペラント行動)をきっちり定義する必要があるが、Baumが述べているように、行動の定義というのは研究の発展とともに変化していくものであり、絶対的にコレだと定めることはむしろ、発展の足かせになる恐れがある。ここでは、暫定的に、三項随伴性によって強化もしくは弱化されるような反応クラスを行動の単位としておく。すなわち、
  • ここに、外見上明らかに異なる行動Aと行動Bがあったとしよう。強化もしくは弱化が行われる前の時点では行動Aと行動Bを同じ行動と見なすべきか、別の行動と見なすべきかは判別できない。
  • その後、行動Aが強化されたとする。行動Aの生起頻度は定義上当然増える。そのさい、一度も強化されていない行動Bも同じように増えたとすれば、AとBは同じ行動(同じ反応クラス)であると見なされる。行動が消去や弱化される場合も逆方向だが同じように変化する。つまり行動Aが消去あるいは弱化されたことによって行動Bも起こりにくくなれば、A とB は同じ行動であると見なされる。
  • 逆に、行動A に対する強化や弱化が行動Bの生起頻度に何の影響も与えない場合は、AとBは別の行動であると見なされる。
  • 具体例として、実験箱内でラットがレバーを前足で押す行動をA、回転カゴを回す行動をB とする。レバーを押す行動を強化しても回転カゴを回す行動に増減がなければこれらは別の行動である。いっぽう、同じラットが鼻先でレバーを押す行動をC とした時、行動A が強化されることで行動C も増えるのであれば、行動A と行動C は、機能的に同じ行動であると見なされる。
以上が行動の定義の原則であり、そこでは行動は、反応クラスとして機能的に定義される。

 但し、異なる行動であっても、行動A が強化されることで、いままで一度も強化されてこなかった行動B や行動C が活発に起こるようになる場合があり、その1つに「般化」が知られている。般化(反応般化)が類似した筋肉系の行動間で起こることは以前より知られていたが、近年、これらが、機能的な類似性のもとでも起こることが注目されるようになった。その代表例としては、「同一見本合わせ課題」と「模倣」があり、さらに関係フレーム理論(Hayes, Barnes-Holmes, &. Roche, 2001; Torneke, 2010; Dymond, & Roche, 2013)では「関係フレームづけ」も般化オペラントであると論じられている(長谷川,2016b 参照)。後述するように、今回提唱している「活動」も般化オペラントであると私は考えている。
 もっとも、「般化」という言葉はトートロジーに陥らないよう注意が必要だ。ある訓練が行われた後、未訓練であるはずの別の行動が起こるようになった時、現象記述的には「般化した」と言えばそれで済んでしまうが、それでは、なぜ般化したのかが分からず、説明には使えない。般化という概念を説明的に使うためには、それがどういう条件のもとで起こり、どういう範囲まで及ぶのかを明確にしなければならない。

次回に続く。