じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 鳥取大学構内の紅葉(写真上、写真中)と雪山遠望(写真下)。「雪山」は白い部分が不自然に残っているので、スキー場の人工降雪かもしれない。


2017年11月28日(火)


【思ったこと】
171128(火)理論心理学会「生涯発達理論の構築に向けて」(1)

 11月25日に行われた、日本理論心理学会第63回大会のシンポジウム

●生涯発達理論の構築に向けて―“オルタナティブ”におけるアイデンティティを中心に―

の感想。私は理論心理学会の会員ではないが(大学院生の頃は一時期会員になっていたが、会費を払い続けることができずに退会)、その後も非会員のまま、何度か参加させていただいている。最近では関西大学で行われた2015年の大会の参加記録がある。

 上掲のシンポは、私自身が3月にお話しさせていただく予定になっている「行動分析学と高齢者のQOL」の準備の一環として、新たな知見を得るために参加した。

 リンク先の規格趣旨が指摘しているように、一般社会に紹介されている生涯発達理論は
...エリクソンやハヴィガーストに代表されるような「発達課題」を前提とする考え方が未だ中心的である。心理教育のさまざまな文脈においても、エリクソン的「アイデンティティ」は中心的話題のひとつである。
となっている。もちろん、それが大多数の人たちの標準であるならそれなりの意義があるが、
自らを「普通」と称するいわゆる「中流」思考のなかで、かつて「規範的」とされたライフイベントの連続体としての生涯発達観を暗黙裏に再生産しようとしている可能性があり、これを超えられない研究者も自戒の念を持ってこの事実に向き合う必要がある。
という指摘にも耳を傾ける必要がある。

 じっさい、認知症高齢者や人生の終末期を生きる人たちにも適用可能な生涯発達理論は必要であろうし、リンク先で指摘されているように、「健常者/障害者、ヘテロセクシャル/LGBT、都市部/辺境地、高学歴/低学歴、経済強者/経済弱者、といったさまざまな分断」を架橋する理論の構築・共有も求められていると言える。

次回に続く。