じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 1月31日に皆既月食となった月は、2月8日に下弦、2月16日に新月というように次第に細くなりつつある。写真は、朝8時頃、半月を眺める黒正巌先生。

2018年2月7日(水)


【思ったこと】
180207(水)「時間に追われる」生活から「時間を惜しむ」生活へ

 定年退職まで残り50日余りとなったが、このところ、卒論・修論の査読に追われていて、後片付け作業のほうは完全に中断している。このあとも、4学期の授業の採点・成績評価作業があり、さらには、3月上旬の講演の準備などがあって、果たして3月末までに研究室をスッキリ去ることができるのか、不安になってきた。

 こうしてみると、小学生時代からから定年退職までの60年間は、毎日が時間に追われる日々であったように思う。せめて定年退職後は、追われることのない生活を目ざそうと思っているのだが、それにはゆとりが必要である。死ぬまでに何かを達成しようなどと思うと、余命という期間が締め切りと化してしまい、またまた時間に追われてしまう。それはそれで積極的な生活をもたらし、ダラダラとした生活に比べて成果を残せるとは思うが、精神衛生上は好ましいとは言えない。

 これとは別に、最近、「時間を惜しむ」という感覚が生じるようになってきた。毎日があっという間に過ぎ去っていく中で、何とかしてそれにしがみつきたい、しかしそれも適わないところで、「惜しむ」という感覚になるのではないかと思う。

 「惜しむ」を辞書で調べると
  • 【新明解】;十分に出さないで済ませようと思う。
  • 【大辞泉』:1 心残りに思う。残念がる。/2 金品などを出すことを、もったいないと思う。出し惜しむ。/3 大切に思う。尊重する。/4 (「愛しむ」とも書く)愛する。めでる。慈しむ。
  • 【岩波国語辞典】大切にする。/思い切れず、残念がる。/物惜しみをする。出し惜しむ。
となっていて、辞書によって、ポジティブな意味とネガティブな意味の順番がマチマチであることが分かる。私自身としては、「時間を惜しむ」を「大切に思う。尊重する。愛する。めでる。慈しむ。」というような意味に捉えていければいいと思っている。「行く春を近江の人と惜しみける」という芭蕉の句も「惜しむ=愛する」という意味であったと思う。

 なお、「惜しむ」の語源は形容詞「をし」の動詞化であり、日本語大辞典によると、
  1. (愛) いつも自分のものにしておきたいほどかわいい。いとしい。ほしい。
  2. 事物を愛するあまりに手放しにくい。心をひかれて手ばなしにくい。思いきって捨て難く思う。
  3. 思うようにならなかったり、物事のねうちが生かされなかったりするのを残念に思う。心残りである。
となっており、「自然の推移や時間の経過により、変化したり消えたりしていく対象への、愛着の思いを表わす。」という語誌が記されていた。

 あと、「惜しい」に相当する英単語には「regrettable/spare/begrudge/mourn」などがあるが、いずれも、「大切に思う」とか「愛する」というような意味は含まれていないようである。