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空を見上げたところ、曇り空の中に色の濃いサソリ型の雲が浮かんでいるのが見えた。9月13日同様、空にはトンボが乱舞していた。 |
【小さな話題】 150人の男と1人の女からn人(但し、3≦n≦151)を選んだ場合の... アンテナ経由で拝読しているこちらのブログに、 円周上に150個の黒い点と1個の赤い点があります。これらの中から一部または全部の点を選んで直線で結び多角形を作る時、赤い点を含む多角形と黒い点だけでできる多角形の個数の差を求めなさい。という問題が引用されていた。オリジナルの問題と解答はこちら(2009年10月9日付)に掲載されているが、冒頭のリンク先ではもう少しエレガントに、 黒の△以上は赤点を含めたら、赤点を含む+1角形と1:1対応というようにもう少しシンプルでエレガントな解法がつけられていた【上記いずれも表記を一部改変】。 上掲は円周上の点と多角形の個数を問題にしているが、図形を持ち出す必然性は無さそうである。例えば、 150人の男性と1人の女性がいます。この中からn人(但し、3≦n≦151)を選んだ場合、その中に女性が含まれている場合と、男性だけが選ばれた場合の組み合わせの数の差を求めなさい。というように書き換えても問題の性質は変わらないように思われる。 なお、上掲の問題は、 150個のミカンと1個のリンゴがあります。この中からn個(但し、3≦n≦150)を選んだ場合、その中にリンゴが含まれている場合と、ミカンだけが選ばれた場合の組み合わせの数の差を求めなさい。と置き換えることもできるが、人間と違ってミカンはどれも同じであるため区別ができない。逆に言えば、上掲の多角形を作る問題や人間を選ぶ問題では、1つ1つ(1人1人)が区別されていて異なる場合として扱われることが暗黙の前提となっている。 もう1つ、上掲では150個というべらぼうに多い数が設定されていたが、これはオリジナルの問題が「150回記念」として出題されたことによるもので、別段深い意味はない。解法は、150の代わりに100であっても10であっても一般化できる。そこで、もっと数を少なくして、 3人の男性(A、B、C)と1人の女性(X)がいます。この中から3人、または4人全員(2≦n≦4)を選んだ場合、その中に女性が含まれている場合の数と、男性だけが選ばれた場合の数の差を求めなさい。という問題を考えてみよう。こうすれば、数が少ないのですべての場合を書き出すことは簡単にできる。
興味深いのは、男性が3人に対して女性はわずか1人であるにもかかわらず、女性が含まれる場合の数のほうが多いということである。これは、「男性がどんなに多くても女性が1人含まれていれば該当するものとしてカウントする」ためであり、しばしば確率判断の錯覚を引き起こす。例えば、医学部合格者が全員男性であると性差別があるのではないかと疑われるが、合格者の中に1名でも女性が含まれているとその印象が薄れる。 なお、場合の数の計算がそのまま確率計算につながるわけではない。例えば上掲の問題を、 3人の男性(A、B、C)と1人の女性(X)がいます。この中から3人、または4人全員(2≦n≦4)を選んだ場合に、その中に女性が含まれている確率を求めよ。というように書き換えたとする。しかしこれだけでは数学の問題としては不十分。なぜなら、3人を選ぶのか4人を選ぶのかが明示されていないからである。それと、特定個人が選ばれる確率と、男性のみが選ばれる確率は異なる点にも注意する必要がある。4人の中から3人を選ぶ場合だけを考えてみると、女性が含まれる場合の数が3/4を占めているが、A、B、C、Xという個人に注目すれば、それぞれが選ばれる確率は3/4であって全く不公平はない。2人を選ぶ場合でも1人を選ぶ場合でも公平さは変わらない。 |