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某店舗の500円均一ワゴンセールでメガネ型拡大ルーペを購入した。この種の商品はテレビの通販でも宣伝しているが値段が高すぎることもあって試したことが無かった。実際にはめてみると、新聞の活字などは通常の老眼鏡より鮮明に見えることが分かった。 |
【連載】 日本語と英語の違いをめぐる議論(6)名詞、動詞、形容詞 9月4日の続き。前回も述べたように、会話行動は、概ね依頼、報告、親交という3つの機能に分類される。これらは、文脈に依存しつつ、名詞、動詞、形容詞を柱とした言葉の使用によって遂行される。但し、親交として機能する言葉は、文化や慣習によって決まっていて、元の意味は失われていることが多い(例えば「おはよう」や「こんにちは」、「気をつけて」、「またね」など。) では、依頼や報告において、なぜ名詞、動詞、形容詞(←ここでいう形容詞には副詞や形容動詞を含む)が柱になるのか。これは、我々が暮らしている地球環境が、比較的安定した事物(=名詞で表現)、同一事物の変化(=動詞で表現)、同一事物の程度(=形容詞で表現)として特徴づけられ、そうした特徴を音声や文字列と対応させて他者と共有することが、生存上有利に働いているためであると考えられる。 もし、地球上の事物が捉えどころがないほどに渾沌としていて刻々と変化しているとしたら、名詞で指し示すことのできる対象はきわめて限られていたに違いない。そうではなくて、量や質が安定し、「同じか違うか」について判断が他者と共有できて、再現可能であればこそ、名詞としての言葉が成立するのである。 例えば、「ソフトクリーム」はすぐに融けてドロドロになってしまうが、「ソフトクリームをください」といって購入して食べ終えるまでの一定時間では何とか安定を保っている。それゆえ、「ソフトクリーム」は名詞として機能しうるのである。瞬間的に消えてしまう「稲妻」や流れ星などのように、一緒に空を眺めていても他者との共有が難しい場合もある。しかし、それらは同じ現象が繰り返し起こるため、過去の体験を語り合ったり、これから先の予想をするといったコミュニケーションで役立つ名詞となる。 さて、地球環境のもとで暮らしている人間にとっては、事物が変化するという情報もきわめて有効である。「オオカミ」という名詞だけでは、オオカミに襲われたり、オオカミがどういう行動をしているのかを伝えることはできない。動物はもとより、植物も季節とともに変化していく。四季の変化や一日の気温の変化、雨の降り方などの情報を伝えるには動詞がどうしても必要である。 形容詞(副詞や日本文法の形容動詞を含む)は、特定事象の変化の程度や状態を示すための重要な情報を伝える。上掲の「オオカミ」に関しては、そのオオカミが「大きい」のか「強い」のかといった形容詞はきわめて重要である。これらはまた、比較を可能にし、選択の手がかりとなる。 形容詞や副詞の多くは抽象化されており、さまざまな名詞や動詞と組み合わせて、より精細な依頼や報告をすることを可能にする。「大きい」、「多い」、「速い」、「早い」などである。 不定期ながら次回に続く。 |