じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 岡大・時計台脇のカイノキは、昨年と異なり、今年は赤く染まることなく落葉している。原因は、両脇2本ともメス樹であり実がいっぱいなったことによる。


2018年12月11日(火)



【小さな話題】

エレファントカーブ/冷戦とリーマンショックについての間違った解釈/ホワイトハウス前の求人広告

 12月12日朝のモーサテに北野一さんが主演されていた。モーサテは平日にほぼ毎日視聴しているが、私の記憶している限りでは北野さんのご登場はあまりにも久しぶりで、最初はお顔とお名前が一致しないほどであった。

 今回は、先進国の中間層の所得が伸び悩んだことを示した曲線として知られる「エレファントカーブ」のカーブが取り上げられた。エレファントカーブというのは、世界銀行のリサーチペーパーで報告されたグラフであり、1988年から2008年において、1人あたりの所得がどれだけ伸びたのかを所得分布別にプロットして折れ線グラフで示すと、
  • 所得分布の低いほうから65%くらいまでの層(いちばん低い5%までの最貧困層を除く)は60〜80%の伸びを示している。これは新興国の中間層に相当している。
  • 所得の高いほうの上位5%も30〜60%の伸びを示している。これは先進国富裕層に相当している。
  • しかし、所得分布の上位75〜90%に相当する先進国中間層では、所得の伸びは10%未満、一部は所得が減少している層もある。
ということで、折れ線グラフ全体の形が、右を向いた象が鼻を持ち上げているような形に見える(象の鼻が先進国富裕層、象の背中が新興国中間層)ことからエレファントカーブと呼ばれるそうである。そして、所得の伸びなかった先進国中間層の不満が反グローバリズムにつながっているという。

 北野さんのお話はさらに、冷戦やリーマンショックの解釈へと発展した。

 冷戦というのは一般には資本主義と共産主義の対立と思われているが、当時の資本主義社会においても社会保障などの制度があった。冷戦の正しい解釈は、「バランスvs極端」であり、バランスを重視したことが資本主義の存続につながった。ところが、これを「資本主義vs共産主義」と解釈し、冷戦終結を資本主義の勝利であると見なしてしまったために、極端なグローバル化が進み、分断、そしてポピュリズムの台頭をもたらしたというのが北野さんの解釈であった。

 リーマンショックもこうした極端な資本主義が生み出したものであるが、北野さんによれば中国はこれを資本主義の失敗であると勘違いし、このことから中央集権化が進んでいる。ということで、現在の米中の対立は容易には解決しないというようなお話【すべて長谷川の聞き取りによるため不確かな部分の可能性あり】。

 エレファントカーブの解消のためには、富の再配分の仕組みの改善が必要というようなお話だったと思うが【あくまで長谷川の聞き取りによる】、有効策はなかなかとりにくいようにも思えた。このWeb日記でも何度か書いているが、お金というのは結局は「人を働かせるためのツール」であり、それ以上でもそれ以下でもない。エレファントカーブがラクダカーブになったりキリンカーブになることはあっても、お金の機能を保持しようとする限りにおいては、カーブがふらっとになることはあるまい。

 余談だが、この日のモーサテではDAILY NEWSの面白い記事が紹介された。あくまでジョークだが、ホワイトハウス正面の柵に求人広告が出されたという話。主席補佐官を急募するというもので、その内容は
  • SPINELESS, CLUELESS FLUNKY TO SERVE AS CHIEF STAFF
  • RESPONSIBILITIES:Keep cell phone charged for early-morning tweetsform
  • REQUIRED SKILLS:Fluent in Russian
  • INTEGRITY PREFERRED BUT NOT REQUIRED
となっていた。センター試験の英語問題には出題されないだろうが。