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【小さな話題】 大相撲「トランプ場所」ウォッチング 大相撲五月場所(夏場所)の千秋楽は、トランプ大統領の観戦で大いに盛り上がったが、私は以下のような点に注目した。
まず、1.の観客の反応は上掲の写真Bのようなものだった。観客の多くがスマホで撮影を試みたことによって、結果的に拍手はあまり起こらなかった。天覧相撲ではこういう現象は起こらなかったと思う。 2.に関しては、結びの一番終了後、大統領・総理一行はいったん観覧席から控え室に移動された。君が代斉唱の直前、両夫人のみ観覧席に戻ったが、大統領と総理は東の花道で立ったまま待機された。弓取り式を観ないでなぜいったん退場されたのかは大きな謎である。 3.については、上掲の写真Eの通りで、大統領も総理もみな黒いスリッパを履いておられた。当日のNHKの中継では言及されなかったが、翌日の民放ニュースではわざわざ「スリッパを履いて土俵に上がった」と放送されていた。いつスリッパに履き替えたのかは不明だが、あるいは、結びの一番終了後控え室に向かう時であったのかもしれない。 ちなみに、米国の一部のニュースでは、「トランプ、日本で相撲観戦し多くの伝統を破る」という見出しのもとで、「人々が土俵に上がるときは裸足で上がることになっているが、トランプはスリッパを履いて上がり賞を授与した」と報じたようであるが、「裸足で上がることになっている」というのは誤解であり、相撲協会関係者は草履、行司は白足袋や草履を履いて土俵に上がっている(但し幕下格以下は素足)。録画画像をチェックした限りでは、外国人(大使館関係者)が土俵に上がる時は白いスリッパを履いているように見えた。十両以下の優勝者に対して「たまり会」が表彰する時には、革靴のまま土俵に上がっているように見えたが、おそらくこれも黒いスリッパであろう。 4.は、民放の番組でも取り上げられていた。某番組のゲストは、アメリカではお辞儀は、尊敬、服従、謝罪の意味があり、以前、オバマ大統領が天皇陛下の前で深々とお辞儀したことが米国で問題視されたというような話をしておられた【長谷川の記憶のため不確か】。また、ウィキペディアによれば、イスラム教やユダヤ教では、お辞儀は神に対して行われるものであり、人間に対するお辞儀は忌み嫌われているという。どっちにしても、トランプ大統領のように常に上に立とうとしている人は、生まれてから一度もお辞儀をしたことがなく、お辞儀の仕方さえご存じないのではないかと思われた。 しかし、実際には、土俵に上がった際、表彰状を渡した際、大統領杯を渡した後、土俵を去る前に、軽くお辞儀をする様子が見て取れた。 最後の5.については、表彰状読み上げの際、「レイワ ワン」とはっきり言っておられた。「レイワ ファースト」ではないかという気もしたが、とにかく、西暦は使用されなかった。 トランプ大統領の今回の日本訪問については、安倍晋三首相とのゴルフや大相撲観戦、炉端焼きを挙げ「日本での最初の1日を観光客として過ごした」(ワシントン・ポスト紙)と評されるなど、両国にとっての外交的な成果がイマイチ分からないところがある。また、トランプ氏をあまりにも厚遇すると、トランプ政権に批判的な国々から反感をかわれたり、トランプに批判的な人が次期大統領になった場合その途端に日米関係が悪化してしまう恐れがあるのではないかと懸念するむきもあるようだ。 |