じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 6月8日の続き。写真上は、京大時計台北側にあるガラス張りの百周年記念ホールと法経中庭の風景。写真中段は1984年の雪景色(5月30日に同じ写真あり。)
 写真下は、記念ホール建設前に同じ場所にあった「法経一番教室」の内部。1971年に行われた湯川秀樹先生の講演だったと思うが、日時不明のプリント写真が残っているだけではっきりしない。

2019年6月10日(月)



【連載】

引きこもりと孤独力(2)引きこもりの定義

 昨日も指摘したように、2019年3月に内閣府が発表した生活状況に関する調査 (平成30年度)は、こういった公的調査が初めて行われたという点では評価できるとしても、調査方法、引きこもりの定義、質問項目の設定などはかなり大ざっぱであり、この結果だけが一人歩きして、関連番組で事実そのものであるかのように紹介されたり、各種審議会や国会討論などで随一の根拠のように採用されたりすると、議論や施策の方向が実態からかけ離れた内容になってしまう恐れがある。

 まず、「5000人対象のサンプル調査で3248人が回答、そのうちの1.45%にあたる47人が広義の引きこもりに該当した」ということであるが、いくら無作為抽出の手続を経たからといって、47人だけから日本全体の引きこもり者数を61万3000人であると推計するのはあまりにも無謀であるように思う。

 もちろん、統計学の基本として、サンプル調査の結果から、母集団における該当者の実数や比率を区間推定することは可能であるが、引きこもりのような微妙な問題について質問紙調査を行った場合、回答者が虚偽の回答をしたり、質問内容を誤解して回答することは充分に起こりうるように思える。また、頻度が極めて少ない現象の場合、分布の偏りについての補正が必要であり、かつ区間推定の範囲が大きく変わるように思われるが、これらが適切に処理されているのかどうかも確認できなかった。

 もちろん、引きこもりの中高年者がかなりの数にのぼっていること自体は間違いないと思われるが、引きこもりのきっかけや原因は、質問紙調査の回答比率などで簡単に分かるものではない。むしろ、自治体の相談機関などを通じて相談内容についての(量的ではなく)質的な情報を収集し、困難点や問題点を探り出すことのほうが生産的であるように思う。

 でもって、今回の調査の質問項目であるが、昨日も引用したように、「Q19 ふだんどのくらい外出しますか。」の問いに対して、以下のように回答すると「引きこもり者」にカウントされるようであった。
  • 狭義の引きこもり:「6.近所のコンビニなどには出かける」、「7.自室からは出るが、家からは出ない」、「8.自室からほとんど出ない」のいずれかに該当
  • 準引きこもり:「5.趣味の用事のときだけ外出する」に該当
  • 「狭義のひきこもり」と「準ひきこもり」の合計を「広義のひきこもり」とする。

 ちなみに、私自身は、ほぼ毎日、近隣の半田山植物園へのウォーキングを実践しているが、これはあくまで趣味の用事に分類される。このほか、海外旅行などもすべて「趣味の用事」であるから、どうやら私は「準引きこもり」に分類される可能性が高い。

 次回に続く。