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12月29日放送のナニコレ珍百景で放送されたじゃんけんが分かる犬。
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【小さな話題】じゃんけんの勝ち負け、アルファベット26文字、10色の識別ができるという犬 12月29日放送のナニコレ珍百景で「じゃんけんが分かる犬」を紹介していた。番組紹介記事にも、 両手で1人じゃんけんをして「勝ちどっち?」「負けどっち?」と聞くと、即座に指定通りの手にタッチする犬のルイくん。ルイくんはモノの名前を覚えるのも得意で、人の顔と名前も1度教えただけですぐに判断できるようになるという。と記されていたが、もし本当であるならば、言語心理学の教科書を大きく塗り替えるような世界的な大発見となるはずだ。 まず、以前から習得していたというじゃんけんの勝ち負けの判定行動であるが、これはきわめて難易度の高い条件性弁別課題である。例えばグー(G)、チョキ(C)、パー(P)のうちGを選ぶかどうかというのは、もう一方がCであるかPであるかに依存している。これは定義上、関係反応ということになる。またじゃんけんの強さは恣意的に設定された関係。かつ、は大きさの比較反応などと違ってG、C、Pは「3すくみ構造」となっている。もちろん、個別に、例えば ●「勝ちどっち?」と言われた文脈のもとで「GとCが提示された時はG」 というように個別に学習することも可能だが、その場合は、「勝ちどっち」と「負けどっち」で2通り、左手にG、C、Pが示されるのが3通り、右手はのこりの2通りのいずれかとなるので、2×3×2=12通りの個別のパターンを学習しないと正答できない。3すくみ構造はもとより、イヌがそこまで多様な組み合わせを個別に学習するとは信じがたい。 次の色の識別だが、イヌは2色型色覚であり、色が見えないわけではないが、番組で紹介されたような、赤、黄、青、緑、黒、黄緑、薄紫、オレンジ、銀色、金色という10色を即座に見分けるほど色覚が発達しているとは思えない。なお、黒以外は明度が似ており、明度を手がかりにするのは困難と思われた。 顔の識別も本当にできていたとしたら驚きである。そもそもイヌは、視覚よりも嗅覚で相手を識別する。顔写真を顔として識別しているかどうか疑わしい。 もう1つ、「CMのスター犬」と「ふつうの犬」を見せた時に「CMのスター犬」を選ぶというシーンだが、これは明らかにトリックであろう。イヌが日本語を理解しているはずがない。事前に、「CMのスター犬」を選ぶように何度も訓練していたと考えるべきだろう。 ということで、バラエティ番組としては大いに楽しめる内容なのだが、子どもたちがこれを見て、本当にじゃんけんの勝ち負けを判定したり色の識別をできていると思い込んでしまうとしたら少々問題である。 では、実際にはどういうからくりがあるのだろうか。 まず、大きく分けて2つの可能性がある。
イヌが利用できそうな手がかりとしては、
伝えられているような能力が本当にあるのかどうかを確かめる一番の方法は、カードを裏返しにしたり、飼い主の前に衝立を置くなどして、飼い主には正解が分からないような状況のもとで選択をさせることだろう。クレバー・ハンス効果ならぬ「クレバー・ルイ効果」が確認できるはずだが、もしそういう手がかりをすべて取り除いてもなお、ああいう行動ができたとすれば、世界的な大発見になることは間違いない。 |